2015.11.26
内容的にそんなに深いものは言ってないけど、初級者に大人気の曲です。実は私も小学生の頃大好きでよく弾きました。第1部が子守歌。第2部は人形の夢、第3部は目覚めと踊りでできています。名曲集には必ずといっていほど入っているのではないでしょうか?
初めてこの曲に出会ったのは私が幼稚園の頃… “静かにおねむりポーズをしましょう~”の時間にいつも先生が子守歌の部分を弾かれるのでした。美しいA先生の音色は優しく、みんな両手を合わせて片方の耳の下に置いて、うっとりとおねむりポーズをとります。
私は先生の後ろ姿と鍵盤が上下するのを床に座って見上げるようにして聴いているのが大好きでした。左手側にいることが多かったのですが伴奏で鍵盤がドミソドミソと沈んでいるのがシレソシレソになったりドファラドファラになったりする変化も興味深く、最後に両手が交差して子守歌が消えるように閉じるところなどは、本当にその交差という動作が幼心にまぶしく超絶技巧として飛び込んできて胸をどきどきさせて凝視していたのを覚えています。
ある日いつもピアノを弾いてくださるA先生がお休みされ年配のB先生が子守歌の部分を弾かれることがありました。今思えばこの時が私の中でタッチ、音色というものに初めて反応した時でした。B先生はどちらかというとパワフルタイプ。ド、ミ、ソ、ド、ミ、ソと力強く刻んでいきます。「もう少しなめらかに弾いて欲しいな~」とおねむりポーズの幼児は心の中で思ったものでした。(生意気!!ちなみにこの曲を私が弾けるようになるのはもっとあとのことです)
右が左より良く聞こえるように弾くのは当然ですが、左手は奥行きで言ったら後ろの方で、メロディーより一段トーンが落ちた音色を選んで弾きます。左を弱く、という表現では鍵盤から浮いてしまい音色がかすかすになったり、すかっと抜けるときがあったりします。
「人形の夢と目覚め」は、ある一時期の年齢にとっては弾きやすく音が読みやすいきれいな曲です。ピアノのレッスンでは例えばこの曲をきっかけにもっと心の奥深くまで降りていってくれるような曲に移行していって自然とバッハやモーツァルトその他の作品の魅力にそれこそ”目覚め”ていくといいなと思います。
音やリズムに反応して楽しむ能力は赤ちゃんにもありますが、心が揺さぶられるような音楽の感動にはある程度の年齢が必要です。そしてそのうち「人形の夢と目覚め」が物足りないと子供さんが思う日が必ず来ます。その時どんな曲を与えていくかは講師の大きな責務のひとつです。私は次に与える曲がこの生徒さんにとってピアノが辞められなくなるきっかけの曲になればいいな、といつも思っています。
なぜかピアノがつまらなくなってしまう
http://pnet.kawai.jp/602574/topics/69326/
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