2015.05.25
ピアノを始めて何年かは、指がちょっと動くようになったり、両手でピアノに触れたりするだけで楽しいものですが、少しずつ曲が進んでいくとなぜかピアノがつまらなくなってきます。
いろいろな原因がありますが、私が一番重要だと思うもののひとつに、生徒さんの年齢と与えられる曲との関係があります。子どもの殻を脱ぎ始める時期を見逃さないことです。
ずっと小さな子どもと同じ曲でレッスンが続いていくと、かなり本人は不満がたまっていきます。つまり「ピアノがつまらない」状態になるわけです。 ここの見極めが難しく、急に難易度の高い曲にすると弾けないし、音符がまだまだ読めないからと小さい子どもの導入曲でもたもたしていると子どもの興味は低下していきます。 レッスンでは年齢に応じたそれなりに底の深い曲を与えなければいけないと思っています。
子ども達は案外本物をかぎわける力があり、曲自体が子どもをひっぱっていってくれます。
また、忙しくなってピアノどころではなくなる中学生ですが、思春期でものすごく内面が敏感。実はピアノに向いている絶好の時期なのです。
中学生には時間の制限が多く反抗的な時期ですが、年齢相応のある程度内容のある底が深い曲を与えます。言葉では言えないような複雑な感情をピアノで表現することができたらどんなにかいいでしょう。長い期間かかっても、全部は仕上がらなくても、音楽で一番大事な深い感情をピアノから感じる喜びを味わうことができたらピアノを習ってきた甲斐があるというものです。
ピアノがなんとなくいやになってしまう理由はたくさんあって、ここに書いているのはひとつの例にすぎません。何がきっかけになったとしても、自分の指で弾いたピアノの音が音楽になり感動を呼ぶのだということを知った子どもが、難しい曲の譜読みの困難を少しずつ克服していくのを見ていると、音楽の核とは人を動かすものだとつくづく思います。そこにうまく導いていくことは難しいですが、それこそピアノ講師の一番の務めだと思います。
毎年年度替わりで数人が中学生になりますが、皆さん忙しくてもなんとか通って来られます。私はレッスンで、
「楽譜の裏にはいろんなものが隠れているからそれを見つけると楽しいよ。」
「楽譜の中に隠れているものが分かって弾くと聴いている人も弾いている人も、あ~いいな~素敵だな~って思うんだよ。」
「間違えずに弾くだけじゃなくて楽譜の中にあるものが大事なんだよ。」
と、よく言います。 ショパンの前奏曲なんかを静かに弾き終えて「曲の中身が分かりました。」なんて感想を言ってくれる時がとてもうれしい瞬間。大人になったね~としみじみ思いながら日付と今言った感想を楽譜のすみに書き込みます。将来またこの楽譜を開いて何かを感じて欲しいという願いを込めて・・・。
私がピアノ教室に打ち込める理由
http://pnet.kawai.jp/602574/topics/20989/
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