2019.08.24
HEART「今日はいよいよ初めてのフーガです。」
明夫「HEART先生、フーガなんて初めてで全然弾けませんでした。右手に気を取られると左手、左を弾こうとすると右手がつられて…。」
H「フーガは本当に難しいですね。実はバッハ先生の時代でも様式的に時代遅れになりつつありました。でも楽譜を眺めていると、いかにバッハが作曲の技術が高く、厳しい和声の縛りの中でただパズルのように組み合わせられているのではなく、最大限の内容を持った音楽を作ったかが分かってきます。そこには技術だけではなく強い信仰心が自然に織り込まれていて深い感動を呼びます。」
明「えー。でもやっぱダメ。僕にはバッハは無理です。フーガみたいに難しく両手ば別々に動かすとは向いとらんです。」
H「まあまあ、今日はコーヒーでも飲んでゆっくり聴いてて。ゲストをお呼びしているの。ヴァイオリンの小菅ご夫妻よ。」
小菅ご夫妻「こんにちは。初めまして。」
H「小菅ご夫妻も音楽以外のお仕事なんですよ。」
小菅・夫「医師です。職業柄命について考えることも多く、バッハの音楽にはいつも考えさせられ、惹きつけられます。」
H「今日はこのフーガの右手パートをご主人様、左手を奥様、とお二人のヴァイオリンでこのフーガを演奏していただきます。」
♪~~~小菅ご夫妻の演奏~~~♪
明「はぁ~…。」
H「どうしたの?明夫くん。」
明「これはもう感動しましたばい!!さっきの言葉は取り消します。アイスダンスのペアのような、クラシックバレエのパドゥドゥのような…。とにかく綺麗だったです。一人が美しい動きをしたらもう片方も同じ形を真似したり、逃げてくのを追いかけたり、追いついてはシンクロしたり…。片方がソロ、もう片方が伴奏っていう形じゃなくて、どちらも対等に何かを言いながら駆け抜けていく迫力ていうとですか…。」
小菅・夫「いやあ、でも夫婦でコンビ組むのも結構大変です。喧嘩した後なんかでも本番前だと合わせ練習しなくちゃいけないし…。(笑)でも二人でバッハを弾いていると、音楽の中で対話しなきゃいけない。それも日常的な会話じゃなくもっと深いところで通じ合いながら一つの曲を作り上げなくちゃいけないので、すっかり喧嘩のことも忘れちゃったりして。」
小菅・妻「あら、私は弾き終わったらすぐ思い出しちゃうけど!」
一同(笑)
H「さあ、明夫くんも私と連弾で片手ずつでいいから味わってみましょう。両手で完成させなきゃってあんまり思わなくていいんですよ。さあ、バッハのフーガの世界へ。」
明「はい、ぜひ!」
※「当たってくだけて平均律クラヴィーア曲集」はフィクションです。
第8回10番ホ短調プレリュード
第1回 プレリュードのプレリュード
もご覧ください。
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