そしていよいよ九州本選会まで2週間という秒読みに入ったタイミングでとうとう私は引導を渡すことになるのでした。「こんな状態だったら棄権したらどうかしら。本選会当日、舞台袖で他の挑戦者が1人ずつほぼノーミスで演奏するのを聴きながら、だんだん自分の番が近づいてくると不安で棄権する姿が浮かんで仕方がないのだけれど...、本番では楽譜を見ることはできないし、そもそも当日ピアノの譜面台は取っ払ってあるんだから!!」と。次のレッスンの前日、ご家族にそれとなく彼女の様子をうかがうと「棄権するよう言われたその日は、夜の10時頃まで練習していたようで、本人はこのままでは終われない...と思っているようです」とのことでした。
その頃にふと彼女にエールの寄せ書きを思いついたのでした。ホームレッスンの生徒一人ひとりに莉乃さんに九州本選会頑張って!と激励するための寄せ書きで、ちょうど金曜日のレッスンから一週間で全員の寄せ書きが完成して二日前にご家族に託ました。そしていよいよ本選会前日の直前レッスンで初めて2曲通しで暗譜演奏をやってみました。まだ完全に暗譜が出来ておらず、弾く度に様々な箇所でつながりません...しかし何度か繰り返すことでもう逃げられないところまで来ているので覚悟を決めるしかありません...
いよいよ本選会当日です。奇しくも電気ホールの近くの駐車場で3台ほどを挟んで同じ階で同じ頃に車を停めて一緒に会場に向かいました。莉乃さんの直前にもう一人の門下生の浅川陽鞠さんが演奏します。彼女は舞台袖では私は付き添って送り出すことはせず、すべて彼女自身に任せることにしました。彼女がステージでピアノに向かって歩き出すタイミングで、私は舞台袖で出番を待つ莉乃さんのもとに駆けつけました。A3に拡大したレッスンで使用した楽譜をいつでもステージ上で彼女に差し出すためでした。そしてそのような事態にはならずに2曲とも途中止まりながらも最後まで楽譜は見ないで弾き終えることが出来ました。
このステージは莉乃さんにとっては貴重な経験を勝ち取った彼女自身の戦利品のような瞬間になりました。そして審査の先生方は彼女の諦めない努力と勇気をコメントを通して褒めてくれています。以下、引用します
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1.メロディーもっと歌っていきましょう 2.たっぷりこの曲の流れにのってゆたかにうたってくださいね 音楽の良いんをたのしんで
1.おしかったですが、BACH 落ちついて最後までがんばりましたね!あきらめずに弾ききったこと。偉いですよ!個人的にはもっとD major明るくても良かったかもしれません! 2.水上のイメージがあったのでしょう、WAVEのかんじ方が好きでした! これからもがんばってください! Thank You!
1.拍子とリズムに乗ってしっかり弾いてみましょう。それだけで元気な良い表現になると思います。 2.伴奏の動きと和声は良いと思います。歌声が聞こえないので、イタリアの歌手のように声を張ってみましょう
1.冷静に1つ1つの音を追っています。Thema fpのバランスも整理されています。もう少しだけ粒立ち感、明るさのある音を狙ってみましょう。 2.無理ない姿勢、速度感、丁寧に学習しています。”重さ””密度感”ある音質◎ これからも楽しみですね! 伸ばしてください。