カワイピアノコンクール 九州本選会レビュー 入江莉乃さん (その1)
2026.04.17
入江莉乃さんはホームレッスン生で毎週金曜日にお会いしています。彼女は2025年12月のカワイコンクール長崎地区予選で優秀賞をいただいて、九州本選会への切符を手に入れました。しかし彼女の本選会へは大変な道のりとなりました。彼女は地区予選発表の前日、学校で手首を骨折してしまいました。ギブスがはまっていて全治2ヶ月、九州本選会まではわずかに4ヶ月しかないので出場は無理ではないかとご家族に伝えました。しかし彼女は「出たい!!」と言っていると知り、ともかく九州本選会への道のりの険しさやレベルの高さについて恐らく彼女自身理解していないのではないかと思い、一度会って話をすることにしました。
彼女とご家族は翌週面会に来ていただきました。これまでバッハの多声部の音楽には彼女自身経験が無いこと、また利き手の右手がしばらく使えないのであれば譜読みも進めることが出来ないので本番までに間に合いそうもない...と伝えました。が、彼女の気持ちはどうしても出場したいという固い決意のようなものがありました。それで私は取り敢えず選曲だけでも進めることにしました。彼女の選曲の希望は短調ではなく、長調の曲であること...でした。
バッハの小前奏曲6曲のうち長調の作品は1番、4番、5番の3曲です。1番は曲の冒頭からモルデントやプラルトリラーがあり右手に負担がくるので無理と判断、5番は16分音符が右手はもちろん左手にも多用されていて選択肢からは除外、残る4番は左手が8分音符が曲全体を通して安定したテンポを刻むので消去法で候補として残りました。今一つはイベールの曲のうちバッハ同様に手にあまり負担がかからない作品ということで水上のセレナードを選曲しました。
【演奏曲目】
J.S.バッハ作曲 小プレリュード第4番 ニ長調BWV
J. イベール作曲 水上のセレナード
年が明けてレッスンに入りましたが、ギブスのためリーチがオクターブに届かないため、バッハの内声部は音を打鍵するだけで上声部の旋律をとることに集中しましたが、オクターブの開きがあるところは上二声部の小節をまたいでタイでつながっている部分は音価を無視して譜読みを進めたためか、2月になってギブスが外れたのですが装具がはめられていて、音の保持が難しいことがわかりました。莉乃さんに装具を緩めるように促しましたら、次のレッスンでは装具を外していたので彼女の本気度がそうさせたように感じました。
その後もなかなか曲の仕上げがままならず、エンジンをかけるため3月中旬に長崎で開催される受賞者記念コンサートに1曲でもいいので出場するように勧めました。九州本選会に臨む他の皆さんも出演するので、少しでも現実に向き合えるようにという意図でした。その後もなかなか曲がまとまりを作ることが出来ないので、一つ一つの曲想がジグソーパズルの一つのピースだと思って区切りながら仕上げて、それをつなぎ合わせながら全体をまとめるように促しました。