2016.07.23
シリーズ、ソナチネへの手引きをお読みいただきありがとうございます。
これまで
1)ソナチネの背景となる古典派について
2)ソナチネ(ソナタ)とは何か
3)ソナタ形式につて
書かせていただきましたが、いよいよ今日は最終回。
今日は、いかにソナチネを楽しむかについて簡単なアドバイスを書いておきたいと思います。
1)走句をどう弾くか。
古典派の作品の速い楽章にはたくさんの走句、つまり16分音符の速いパッセージがたくさん出てきますね。
指がもつれる!何回弾いても途中でつっかえる!
そもそも指の体操みたいでつまらない!
なんて声が聞こえてきそうです。
さあ、この難しパッセージとどうやって仲良くなるか。
是非試していただきたいのは、パッセージを
点点の連続ではなく上がり下がりする線で捉えること。
デジタルではなく図形で捉えると言っても良いかもしれません。
例えば、ソナチネアルバムにも収録されているMozartのソナタK.545。
こちらの5〜10小節には空を旋回し、舞い上がるような素敵なパッセージがあります。これを一列に並んだ音の点点、つまり「ラーシドレミファソラソファミレドシラ」と捉えてしまうと魅力が色褪せてしまいます。
一度、音符のラインを線で繋いでみてください。
始めはジグザクに上がり下がりする音のライン、それは一小節ごとに少しづつ下降していくのですが、最後レに行き着くと一転、今度は天空へと一気に駆け上がっていきますね。
まさに羽の生えた音楽、モーツァルトが其処にいます。
ラインを辿る、そうやって走句の魅力を見つけていけば、繰り返し練習の退屈さが減って、今までよりずっと譜読みが楽になりますよ。
2)オーケストラの指揮者になってみる。
古典派は実は
シンフォニー(交響曲)の時代でもありました。
お客さんをビックリさせる茶目っけたっぷりの作品を書いたハイドンさん。
自然の情景から、人の苦悩と理想まで書き込んだベートーヴェンさん。
実は彼ら古典派の作曲家の代表作といえば、
ヴァイオリンやフルート、太鼓も大活躍する
オーケストラのための作品なんですね。
なので、彼らの作品を演奏するときには是非とも
他の楽器をイメージしてください。これを機会に一度演奏会に足を運んでも良いかもしれませんね。
あるいは吹奏楽をしているお友達に楽器を見せてもらうとか。
この甘いメロディはオーボエかな?
左手のこの和音はきっとティンパニ。
さっきの走句はフルートとヴァイオリン、みんなで忙しそうに演奏している。
そして
この大オーケストラを率いているのは、そう私!
以上、ソナチネを楽しむためのちょっとしたエッセンスでした。
ブルグミュラーを卒業してソナチネに取り組む方も多いでしょう。
様式の違いやテクニックの問題に悩み、繰り返し練習に飽きてしまったときに
少し視点をかえて、これまでとは違う魅力をこれら古典派の音楽から発見いただければ嬉しいです。