2016.06.06
このところ美術館に足繁く通っています。
体調が上向きなのに加え、興味深い美術展が目白押しなので。
先日伺ったのは森村泰昌氏の回顧展。
『自画像の美術史ー『私』と『わたし』が出会う時』
実はわたくし、森村泰昌氏が何者か全然知らなかったのです。
チラシで何度か見たものの「ハテナ」という感じでやり過ごしていたのですが
馴染みのイタリアレストランで噂を聞き、それならばと行ってみたわけです。
まさかこんなに興味深いとは!
内容は御本人の解説曰く
「私(森村氏)みずからが何ものかに扮し、その姿を写真に撮るという、セルフポートレイトの写真作品」。つまり
ゴッホ、デューラー、ベラスケス、ゴヤ、、、、
彼ら古今東西の有名画家の自画像を、自分でも演じてみてそれを写真に撮った作品。
まず、これは写真なのか絵なのか、はたまた演劇なのか?
絵の模写なのに本物とは何かが違う。
その違うところ、強調され改変された部分、、、そこに目がいきます。
さらに、見ていくと
あたかも多重人格者に向き合っているような好奇心と怖さに襲われます。
一人の男・森村の中には、いったい何人の人格が隠されているのか。
もしかすると私の中にも?
揺るぎない自我ってあるんだろうか?
ある部屋に入った時、ある言葉が目にとまりました。
「日本の前衛精神は眠らない」
前衛とは、人が既存の価値観に安住し眠りを貪っている時に
それは本当に真実なの?と揺さぶりをかける人の営みなのでしょう。
強い精神を持った人でなければ出来ない稀有な仕事だと思います。