2016.05.28
久方ぶりに兵庫県立美術館に
『1945年±5年 激動と復興の時代 時代を生き抜いた作品』展を見に行きました。
1940年 戦争の影はまだ朧で、
芸術は伸びやかに光と色彩に満たされていた時代から
自由が奪われ、全ては戦のために身体も魂もうばわれていく戦争末期へと。
藤田嗣治・小磯良平
世界的にも通じる稀有な才能と教養をそなえた芸術家の戦争画に心が痛みました。
体制に媚びたかと思う薄っぺらな作品もありました。
逆に、時代に葛藤しつつも真実を書き込んだ強い作品も目にしました。
1945年 敗戦。
画材も手に入らぬ状況で、何かの裏紙に書きとめられたスケッチ。
それは原爆投下後のヒロシマでした。
何もかもが灼かれた街で、屍体の横たわる街で描きとめられたスケッチ。
筆の強さに圧倒されました。
この地獄を描きとめなければ、残しておかねば
そんな切迫した思いを受け取りました。
最後の展示は丸木位里・俊夫妻による『原爆の図 幽霊』
この絵にどんな言葉がありましょうか。
でも黙するだけでは世界は変わらない。
昨日の米国大統領オバマ氏のヒロシマ訪問は
大きな一歩であったことに間違いはありません。
とはいえ
米国内に原爆正当化の世論が根強くあること
日本がアメリカの核の傘の下にあること
それゆえ、核廃絶を率先する役割を果たせてい無いこと
もっと言えば、日本もまた加害者としての責任を果たせていないこと
これら多くの問題を誤魔化し、直視することを放棄するなら
同じ過ちを繰り返すことになるでしょう。
誰よりも強く謝罪を求めたかったであろう被爆者の方々が
オバマ氏を暖かく抱きとめたことを心に留め
諦めず、ヒロシマ・ナガサキを伝えていきたいと思っています。