2016.05.22
いまカベソンの曲をさらっています。
A.de カベソン。
彼は500年前のスペインで生まれた鍵盤奏者・作曲家。
鍵盤楽器(オルガン・チェンバロ)で弾かれる作品としては
もっとも古いものになるのでは無いでしょうか。
演奏される機会も決して多くはありません。
私もこの年までさらったことがありませんでした。
500年前と言うと、日本では室町時代末期~戦国時代。
西洋音楽史ではルネサンスの時代となります。
ルネサンス期の価値観は調和と人間性。
音楽の主役は人間の声なのですが
鍵盤楽器の作品でも声に似せた自然なメロディが
ゆるやかに繋がり合い、とけあい
なんとも言えず心地よい時間が流れていきます。
バロックの作品のような「事件」や「誇張」は無い、、、、
それだけに演奏するのは勇気がいります。
退屈な音楽にならないかしら?
一音一音、意味のある音を出すこと
そのために一音一音の意味を探ります。
それは自分の感性との対話。
先導してくれるのは「声」。
旋律を一本づつ、声でなぞりながらメロディに命を吹き込んでいきます。
ともすれば鍵盤楽器は完成された楽器と思われがちですが
どうしてどうして
「人間の声」ほど素晴らしいものはないんですね。
とくに持続音。
豊かに伸ばしながら、合わせるメロディやハーモニーに合わせて
自在に音色をかえていく、あの表現の豊かさ。
これだけは、どうひっくり返っても鍵盤楽器には不可能なのですが
その不可能な表現にちょっとでも近づきたいんです。