2017.08.02
「後は自分で探しなさい。
ルセに出来るんだから貴女にもできる。
この楽器はもっと沢山のことが表現できる。
その為に必要なのはイマジネーションと良い楽器に触れること。」
いま、この場で、自分に出来ることを
いま、この場でしか出来ないことを
探り求めた一週間でした。
イタリア Montisi でのチェンバロ・マスターコース。
これから世界にデビューしていくであろう若く才能あふれる青年たちに囲まれ、
語学も覚束ない、その語学を補う愛嬌も機智もない50歳の我が身としてはいささか無謀な参加でしたが、そんな事を嘆く暇も無いほど凝縮した日々でした。
中世の趣を残すトスカーナの村 Moitisi、その石造りの建物内でブルース・ケネディ氏の楽器は想像もしなかった多彩な音色を教えてくれました。
体の底に届く深い響き、空間に立ち上るアルペジュオ、繊細なトリル、微細な色合いの変化。指を下ろした時の柔らかな伸び。
朝起きて楽器の前に座る、それだけでも幸せで、朝が待ちきれない思いでした。
そして、クリストフ・ルセ氏のレッスン。
環境の違い、楽器の違い、なによりも言葉の壁に阻まれ、アドバイスに即座に反応出来ないことも多く
(以外と簡単な言葉で引っかかるんですね)
時にはルセ氏が苛立つ場面もあって、わたしも動揺したのですが
それでも、ここまで真剣勝負のレッスンを受けられることが嬉しく
まだ私にも伸びしろがあったのかしら、と思える事も嬉しく
「私には泣いている暇はねぇ」と言い聞かせて頑張りました。
冒頭の言葉はそのルセ氏が語ってくれた事。
堪えました。
帰国して一週間。
いまは沢山の方々に支えられたという思いでいっぱいです。
旅行前は、年を重ねてもうちょっとスマートに旅行も講習会もこなせるかと思っていたのですが、終わってみれば、様々な国籍の、それも私より若い仲間の有言無言の応援に助けられていました。
すべての方にありがとうと言いたいです。
ルセ氏の貴重な助言の数かず、とくにフランスバロック音楽への知見については
またおいおいご報告したいと思います。