『心で弾くピアノ』 シーモア先生の書籍から その1
2016.11.07
前々回のコラムでご紹介したシーモア・バーンスタイン氏のドキュメンタリー。
あまりに素晴らしかったので、その秘密を知りたく彼の書籍を買い求めました。
『心で弾くピアノ 音楽による自己発見
With Your own Two Hands self-Discovery Through Music
(音楽の友社)』
宝の一冊!
音楽書をこんなにワクワクしながらページを繰るのは久しぶりの事です。
これまで私がピアノ教師として、また演奏者として悩み、発見した事、さらにそれ以上の示唆がこの中にありました。
第1章で彼は書きます
「音楽の練習と演奏は、調和のとれた人格形成ーすなわちセルフ・インテグレーション(自己統合)を促すと考える」
そしてその信念のもと、時に生徒を叱咤激励し、干渉し、愛情で大きく包み込みます。
ショックでした。
告白しますが、私はここまで生徒さんに干渉したことはありません。
例えばシーモア先生は練習をしない生徒に、毎日4時間の練習を約束させ、さらに毎朝それを電話で報告させるのです。6ヶ月間も!
もちろん、生徒も強く反発します。
ある生徒は言います。
「心理分析をされるためにここに来ているわけではないわ、ピアノのレッスンをしてくれればいいのよ。」
対するシーモア先生の答え
「私が君という人間を君の音楽から切り離すことができると思っているのか?
教師というものは、生徒の人間性に感化を及ぼすことができるはずだと私は思う。」
他人の人生に入っていく、干渉していく。
それは、とてつもなく怖いことです。出来ればそんな責任は負いたくない。
結局、耳あたりのよい嘘っぱちの優しさが広がっていく。
でも、音楽はそうじゃないんだ。
音楽は人生とは切り離せないんだ。
そんな風にシーモア先生から問いかけられていると感じます。
この書籍には、他にもたくさんの示唆があります。
それらも、おいおいご紹介していければと考えておりますので、お楽しみに!