2016.10.25
ビッグイシューと言う雑誌はご存知でしょうか。
これは「ホームレスの仕事つくり自立を応援すること」を目的として、1991年英国のジョン・バードによって始められた事業です。その後日本に渡り、ジッグイシュー日本版として2003年から発行。もうじき300号を迎えます。
システムは簡単。
販売者(ホームレス状態から抜け出そうと頑張っている方々)は最初に雑誌10冊を無料で受け取り、その売上を元手に雑誌を街角で販売します。定価350円のうち180円が収入となります。350円の薄い雑誌ですが、新聞や商業雑誌では取り上げない隅っこの、でも地道な社会活動等の記事が多く、読み応えがあります。
実はビッグイシューには個人的な思い出があります。
買い始めた頃、家族が大きな病気で手術を控えていました。
心配で一杯の日々、でも心配以外には何もできない日々。
そんな時、駅角でビッグイシューを見かけ、声を交わした瞬間にふと気付いたのです。
誰かに優しい気持ちを送る。
その気持ちはぐるぐる社会を回って、また自分の家族に戻ってくるんじゃないかな、と。
「情けは人のためならず」
その諺が初めて身にしみました。
さて、ビッグイシューの人気コラムに「ホームレス人生相談」と言うのがあります。販売員の方が読者からの悩みに応えるのですが、毎回ほのぼのと心が温かくなります。今月297号の悩みは13歳の方から。
「友達との実力差がわかる、ピアノ発表会が憂うつです」
対するお返事の一部を紹介しておきましょう。
「一番じゃなくたっていいんです。自分でどこかに喜びを感じられたら、それで十分だよ。」
「ピアノの発表会、あなたを見に来てくれたご家族は、友達と見比べてどうこうじゃなくて、あなたが精いっぱいピアノを弾く姿を見るのが楽しみなんじゃないかな。」
「そうそう、おじさんは楽器を演奏している人を見ると、とってもうらやましくなります。音楽って聴いているだけで幸せな気持ちになれるでしょう。誰かをそんな気持ちにできるなんて、本当にすごいこと。」
「あなたの弾くピアノだからこそ、周りの人は幸せな気持ちになれるんだから。」
こんな風に励まされたら本当に嬉しくなりますよね。
ビッグイシュー、実は勇気をもらっているのは購入者である私の方なのかな、て思います。
みなさんも街角で「ビッグイシュー」を見掛けたら、ぜひ一冊買い求めてくださいね。