2016.09.16
幾度目かの札幌。
たいがいの観光名所はすでに回っており、さて何処にいこうかしらん、と思って訪れたのが「モエレ沼公園」でした。
ゴミ処理場跡地を利用して作られたこの公園はイサム・ノグチ氏の設計。
中心施設となる「ガラスのピラミッド」から公園を見渡した時には思わず胸が高鳴りました。
一面の緑の大地に、幾何学的な森と山が配置され、さながら京都の寺院の石庭を見ているようです。
広大な緑の石庭を、自転車で走り、山にのぼり、そして森の中の噴水を見る。
この噴水がまた素晴らしいんです。
吹き上げた潮柱が砕け、波立ち、溢れ、満たす。
森の中に忽然とあらわれた『海』に釘付けになりました。
サム・ノグチ氏は「公園全体がひとつの彫刻作品」となるように設計したと言います。
なるほど、公園内にいると距離感の掴めない不思議な感覚になりました。
遠いようでいて近い、近いようでいて遠い。
無限に広がっているのに、すべてが視野の中にある。
そんな感覚です。
そして安心感。
イサム・ノグチ氏は
「人間が傷つけた土地をアートで再生する。それは僕の仕事です。」と言ってこの仕事を引き受けたそうです。そう、公園全体が優しさに満ちているのです。
自然への、人間への。
この公園は人が集い、子供たちの声がこだまする事で完成します。
10年後にはどうなっているのでしょう。
樹々がそだち、動物たちも もっと集まっているのでしょうか。
今日と同じように、寛いだ人々が芝生に寝そべり
その上を雲が渡っているのでしょうか。
米国と日本の狭間で生きたイサム・ノグチ(1904-1988)。
氏の最後にして最大の作品『モエレ沼公園』は、氏の死後2005年に完成されました。