2015.12.29
1年が終わろうとしています。
今年はロシアの作曲家スクリャービンの没後100年でした。
モーツァルト没後200年や生誕250年は盛り上がり、テレビでもコンサート、オペラはもちろん、生い立ちからザルツブルクの旅紀行の番組までいろいろと飽きなかった記憶がありますが、スクリャービンの没後100年に関しては私の周りや知る限りではあまり盛り上がっている様子はないようでした。
ひとりで大騒ぎしてどうにか弾けるものはステージで何度か弾きました。私が弾けるスクリャービンの曲はそんなに多くはありませんが、ソナタのあるものやプレリュードのいくつか、エチュード数曲くらいと格闘しながら楽しんでいます。
その中でも大好きな曲のひとつがソナタ第10番。スクリャービンは「光と昆虫のソナタ」と呼び「あらゆる草木や小さな動物たちは、私たちの霊魂のあらわれである。鳥が羽ばたき舞い上がるのを見るとき、私の心の動きと同じだと感じる。」と語りました。
そしてこの曲のいたるところにちりばめられた、めくるめくようなトリル。もともと「光」に強い憧れを抱いていたスクリャービンはトリルの箇所に「力強く光が発せられるような」という言葉を記しています。トリルによって異常な感覚が呼び覚まされそうです。
かなりマニアックなこの曲。家族にも不評きわまりなく「どろどろしている」「わけが分からない」と言われ続けています。ところが当教室の生徒B子ちゃんはこの曲の出だしをちょっと弾いてあげるといつもうっとりして「これ好きです。」と言ってくれるのです。そんな時は「そうでしょ、そうでしょ。」と身近な数少ない理解者の賛辞に盛り上がり、調子に乗ってスクリャービンを弾きまくることになります。
彼の伝記を読むとやはりかなりの変わり者。思い込みが激しくあぶない感じの方なので、個人的にお近づきにはなりたくはないタイプですが、その作品は宇宙のように壮大、かつロマンティック、魅惑的です。音を聴くと色彩が見えた人でした。
今夜も少し冷えてきて冬の星座がさえざえと輝き、もうすぐ彼のメモリアルイヤーもおわろうとしています。さて、しばし師走の忙しさを忘れてスクリャービンのソナタを聴きながら1年をゆっくり思いかえすことにしましょう。
私の好きな曲③ スクリャービン 前奏曲「Scriabin Prelude Op. 37, No 1 」
http://pnet.kawai.jp/602574/topics/27913/
もよろしかったらご覧ください。
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