2023.04.14
舞台はホールによって作りや大きさも様々。ウィーン学友協会ホールは、床が黒光りしていてほの暗いライトが素敵な雰囲気。ローマカラカラ遺跡を舞台にした公演は雰囲気満点。熊本県立劇場は、残響時間が2秒という理想的な長さに計算されているホールで、舞台も広く、袖からピアノまでが遠く感じられます。
そんなホールを見ながら、演奏とは関係のない邪念がわたくしを襲います。
ある日のサントリーホールでのピアノ協奏曲演奏会では、音へのこだわりからヴァイオリンパートにまでひな壇が…。通常ヴァイオリンパートの座る床はフラットなので、その間をぬって指揮者とソリストがさっと出てくるのですが、この時はソリストと指揮者が一度ひな壇を登ってまた降りて中央へ。
また、アムステルダムコンセルトヘボウは舞台の両脇にせりたった客席があり、なんとその上方から階段で降りてきて登場という恐ろしさです。その段数もおそらく30段はあろうかという長階段。アンコールなどは30段を上りきる方もいれば、階段の途中まで登って帰りかけつつクルッと引き返す方も…。水も飲まないで引き返す…。階段は下りが危険…。と思ってしまいます…。
しかも、コンセルトヘボウの舞台は正面客席からの高さが結構あり、協奏曲の際ピアノは舞台スペースのギリギリ前方に置かれていて、客席からそそり立っております。一応柵のようなロープはあるのですが、地震を思い出してしまいまた邪念に襲われるのでした。
しかしもちろんそんなこととは全く関係なく、指揮者やソリストの方々は、何があろうと出てくるときからすごいオーラをまとって登場され、画面越しからも一期一会の素晴らしさです。きっと生のホールはもっと感動に包まれていることでしょう。
舞台には様々なシーンがありますが、高齢で足の弱ったピアニストが、広い舞台の遥か遠くにあるピアノまで介添付きで一歩一歩踏みしめているのを見ると、音楽家とはいかなる時もそのそれぞれの舞台で、その力の限り音楽の真髄を奏でるものだと感じます。
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熊本市東区健軍
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