2021.07.30
私の趣味はお菓子作りです。抹茶入りの水ようかん、抹茶入りのゼリー、抹茶入りの白玉団子、抹茶入りのアイス、抹茶入りの葛きり……。あ~夏のお抹茶の色と香りはなんて涼しそうなんでしょう。製菓用のお抹茶を近所のお茶屋さんで買ってきてせっせと作ります。
さて、音楽で涼しげな曲といえば…。
ドビュッシーの“金色の魚”はいかがでしょうか。トレモロ(ミドミドミドミドなどのくりかえしの音型)で始まり、ところどころに金魚のはねる水しぶきのようにキラッと高い音が入ります。クリスタルな音色が出るようにタッチを強めにすると音が固くなり、金魚の濡れた身体の輝きや透明な水のキラキラした感じが出てきます。
ショパンの“アンダンテスピアナーと華麗なる大ポロネーズ”も、若いショパンのみずみずしい感性とストレートに表現される技巧的なパッセージが、素直な感情を透き通るように浮き上がらせているので、すがすがしく感じます。聴いていると本当に涼やかですが、弾いている人はすごく暑いです。特に曲の後半、華麗な音、音、音の洪水。まさに体力勝負です。
次にモンポウの「内なる印象」。
第1番〈哀歌〉第2番〈悲しい鳥〉、第3番〈小舟〉、第4番〈ゆりかご〉、第5番〈秘密〉、第6番〈ジプシー〉の短い9曲からできた組曲です。あまり多くない音数でできているのですが、音と音の間の醸し出すものが聴衆を引き込みます。モンポウの人柄、スペイン系フランスのリズムの軽快さ、品の良さがすっと心に入っていて涼風のように心地よい曲です。
オペラのアリアを聴くのもいいですね。プッチーニ「トスカ」より“星はきらめき”。処刑直前のカヴァラドッシをひんやりとした夜の気配と冷たい死の恐怖が包んでいます。
いっそアツイ音楽で爆裂したければ、ヴィヴァルディの“四季”ピアノ編曲版があります。冒頭の「春」の印象とは違い「夏」はかなり激しい音楽です。弦の音で聴いていたのといざ自分がピアノで弾いてみるのとでは印象がかなり違い、強く語りかけてくるバロック音楽の迫力に暑さを忘れてしまうかもしれません。
暑くてピアノの練習に疲れたら、抹茶入りの涼しいお菓子をほおばりながら、テレビでスポーツ観戦。結果的にまたアツくなってしまうわたくしです。
熊本市東区健軍
ハートピアノ教室