2021.03.31
昔「彼女の事は“ピーちゃん”と呼んでいます。」と結婚会見でのろけていた芸能人がいたけれど、確か何度も呼んでいるうちに元の名前の原型をとどめなくなってそんな呼び方になった、と言っていたような気がしますが…。他にも“あなた”“おまえ(妻を呼ぶとき)”“主人”“カミさん”“うちの”。はたまた学校では生徒を必ず下の名前で呼び捨てにするキャラの先生がいたり。呼び方は奥が深う御座います。
MAESTROという呼び方は第一人者、巨匠を指します。イタリア語でマエストロ、ドイツ語ではマイスター、英語でマスターとみな同じ語源ですが、言葉本来の意味や歴史文化も様々です。
“マエストロ”は大指揮者を指すことが多く、“マイスター”は歴史的にも“優れた職人”を指すことが多いようです。KAWAIのグランドShigeru Kawaiの調律は特別なマイスターの資格を持っている調律師にしかできないそうですし、熊本の調律師の方々もお仕事されながら更にドイツでマイスターの指導のもと研鑽を積まれているとお聞きしました。厳しい修業をした技術者の手から素晴らしいピアノの音が紡ぎだされる様子が“マイスター”という言葉を聞いただけで伝わってきます。
私はピアノ講師なので普段は“せんせ~”と呼ばれることが多いのですが、小さい生徒さんが「せんせ~トイレ~。」「せんせーきょうね~がっこうでね~。」なんて言うのは可愛いですね。多分私の名前も知らないし、ひょっとして“せんせえ”という生き物だという認識しかないかもしれません。“HEART子せんせー”と“下の名前+せんせー”も好きな呼ばれ方です。
高校時代担任の先生は同勤の先生たちを完全に“~さん”付けで呼ぶ主義でした。「だって俺の先生じゃないんだから。」と。確かに…。
そういえば、第一線で活躍中のピアニスト(年上)にレッスンしていただいた時、大緊張して硬くなりながらやっとこさ弾いている私に「先生は生徒さん何人くらい教えてらっしゃるんですか。」と“先生”攻撃。これってあくまでも便宜上で普通の事なのに、高校の担任の先生の言葉がよぎったり、勝手にちょっとだけ”先生”の響きに“マエストロ”的なものを感じたりしてどぎまぎしてしまいます。
反対にこちらが呼びかける時も気を使います。 巨匠には“先生”も使いますが、“さん”が意外と尊敬形で、本人のいないところで話題にする時は何もつけなかったりします。(例:小澤征爾が振ったCDを買った。小澤先生、こちらへどうぞ。小澤さんの音楽が好き。)
教室の生徒さんなんだけどお仕事は学校の先生、ドクターetc.…。全部“さん”で統一して大丈夫ですが、相手との関係性なども加味して失礼のないようにと考え始めると、たくさんのパターンがありです。
さて。結婚会見のピーちゃんカップルは、呼び方を例に出してそれほど二人の距離は近い、何度も呼びあって仲がいいということを言いたかったのね、と今更気づくわたくしですが、確かあの二人は離婚したような…。呼び方も結婚生活もなかなかに難しいものなので御座いましょうかね…ふむふむ。
熊本市東区健軍
HEART PIANO ハートピアノ教室