2021.02.15
私の趣味はお菓子作りです。本を見ながらの全く自己流の勝手な作り方なのですが、ちゃんとした材料を揃えて作ると、まあまあ家族が喜んでくれる味になります。
バレンタインデーには必ず手作りのチョコレートケーキを作ります。その年によって濃厚だったりさっぱり焼いてチョコレートをかけたりといろいろですが、できたてのほのかに卵の香りのするチョコレートケーキはプロの味とはまた違ったおいしさがあります。
お菓子作りの面白さは失敗したとき“どうして失敗したか”を考えることです。例えばスポンジケーキが膨らまなかった時の原因は
① 卵の泡立てが足りなかった
② 粉を入れてから混ぜすぎた
③ 焼く時の温度が高すぎた
などなどありますが、卵がなんで泡立たなかったか、粉を入れて混ぜる時の程よい感覚、などは今でこそユーチューバーの方が上手に紹介されていますが、昔はいろいろなお菓子の本を読んで研究しました。ひとつひとつの失敗の理由が解明されて上手にできるようになっていくのは楽しいものです。
ピアノの練習も、お菓子作りに似ているところがあります。“どうして弾けないのか”や“本番でどうして失敗したのか”を考えることは重要で、そこに楽しみを見出すことは上達のひとつの方法です。曲の中でこの小節は弾きにくい、と感じていても弾きにくさの原因は案外たった一か所の指使いや動き方だったりします。レッスンでもうまくいっていないところは注意深く観察します。
例えばメンデルスゾーン作曲《無言歌集》45番(ペータース版での題名はタランテラ)で冒頭ソラソ、ソラソ、ソラソと右手が早く弾きます。ゆっくりの時はよいのですが速いテンポになるとだんだん力んでしまいます。121、121、121という指使いで弾けない弾けないとやみくもに何度も練習すると、親指を必死でいじめている感じになってしまいます。なぜできないのか考えながら楽譜をよく見ると指使いに132、132、132と書いてあることを発見。そちらに改めます。そしてその指使いで弾きながら意識を更に手首や腕の動きへとさかのぼると、132を弾く間に腕全体が一つの動きをすることに気が付きます。音を3つずつまとめて感じることで指の負担が減り、ラクに早く弾けることが分かります。
また、鍵盤上でタッチする場所も重要で、3の中指を鍵盤のあまり手前側を弾いてしまうと指を上げる仕事量が増えてこれも疲れの原因になるので1の指、2の指、3の指と自然と奥になるようにします。子供は想像力豊かで、時々指が一直線に並ばないといけないと思っていたりするので、鍵盤に目印を置いてここを弾く、というとすぐに分かって弾けるようになります。
どうしてうまくいかないかを考えるのは近道です。また工夫したことでスッキリ弾けるようになると楽しいです。
私のお菓子作りに実は数々の失敗の歴史がありまして…。その度に家族は失敗作を食べさせられることになるのですが、子供たちは小さい頃はお母さんが作ったというだけで喜んで食べてくれて、塩と砂糖を間違えた救いようのないシフォンケーキさえも「大丈夫!食べれるから捨てないで~~」と言ってくれたことは、懐かしい思い出です。
熊本市東区健軍
HEART PIANO ハートピアノ教室