☆気ままに、音楽あいうえお☆ 「た」田中カレン《星の動物たち》
2021.01.29
~田中カレン…作曲家。三善晃に師事。ピアノとオーケストラのための 《アナモルフォーズ》でガウディアムス作曲賞 第1位 。ピアノ作品においても、研ぎ澄まされた色彩感覚と透明感のある楽器の扱いが特徴的。~
作曲家、田中カレンさんの《星の動物たち》という曲集は本当におすすめです。ピアノからこんなに透明感のある音が出るのかしら、というくらいどの曲も楽譜通りに弾くだけで美しい音が出てきます。音が少なめの曲は初級者でも弾けるので、生徒さんにも大人気です。
色々な星座をモチーフにした組曲になっており、“星のうた”から始まり“おうし”“やぎ” ”かに”“きりん”“うお”“はくちょう”などの、星座に出てくる動物たちが登場します。
そして題名の下には日本語と英語でその星座についてのイメージや、弾き方へのヒントが書いてあり、作曲家の優しいお人柄を文章からも感じ取ることができます。
かすや昌宏さんの可愛いイラストが添えられており、表紙の色とデザインも棚に並んでいてもすぐにこれ、と分かる美しいデザインです。
お宅に古いピアノがあったことがきっかけで始められた初心者の大人の生徒さんも《星の動物たち》の大ファンです。 “こぎつね”という曲を最初にご紹介したところ、もうすっかりその世界に魅入られ、カレンさんカレンさんと言ってどんどん練習してこられるようになりました。ミを♯にしたり、ソをダブルシャープしたり(♯して更にシャープする‼)など、少し現代曲っぽく難しい箇所があるのですが「むむ、ここは三善晃っぽいですね。」とその難しさまでも発見の喜びに変えていかれます。以前合唱をなさっていたので読譜はおできになったのですが、それにしてもすごい上達ぶりです。
ある日は“うさぎ”をレッスンしていて、「どうしても曲の感じがつかめないんです。ピアニストの方の演奏を聴いても、ものすごく速いだけですぐに終わってしまって…。」と悩んでおられました。私が音の響かせ方や、音型の持つ特徴と曲想との関連などをお話しし、ゆっくりめに弾いて差し上げたところピンと来られました。レッスンでは遅く弾いて『どうなっているのか』を見せると生徒さんたちはどうやって練習してよいかが分かってこられます。誰だっていきなり速くは弾けないものだし、練習の途中の段階を聴くことで細かいところが聞こえてきて、それをまねすることで今できる最善の道が見えてきます。(特にショパンの幻想即興曲はゆっくりバージョンが不可欠です。右手があんなことになっていたとは、と皆さん驚かれます。)
指と耳がだんだん曲に慣れてきたらもうしめたもの。たくさん練習して作曲家がつむぎ出した音楽の世界へ入っていきましょう。星がキラキラと輝く夜の空を空中散歩しているようです。
熊本市東区健軍
HEART PIANO ハートピアノ教室