2019.06.07
買いだめをする、という行為は、自分がずっと生きるつもりだということだ。
ランチを予約する時も、コンサートのチケットを買う時も、私はずっと生きるつもりでいる。当たり前だけど改めて思う。最近リパッティの本を読んでいるからかしら?
手に負えない難しい曲を、10年後、20年後にいい感じで仕上がってくるように日々練習・・・。ずっと生きる、まだまだ時間はたっぷりあるように思う。しかし明日生きているという保証もない。 それにピアノのために書かれた曲は他の楽器より群を抜いて多く、まだまだ弾きたい曲がたくさんあるが、自分の一生では到底足りない。
グレン・グールドは街へ出かけてピアノが弾けない一定時間を超えると“ピアノ弾きたい発作(?)”が起きて、ピアノのある家を探して和音をいくつか弾かせてもらうと治まったという。それくらいずっとずっと弾いていたかったに違いないのに50歳で亡くなってしまった。さぞ無念だっただろう。
歳をとったらピアノ付きの老人ホームじゃないと生きていけないかも、とよく友人と話す。実際フランスに芸術家だけが入所できる国営の老人施設がある。ピアニスト、彫刻家、画家、イラストレーターなど、現役のころ芸術関係の仕事をしていた人だけが入所でき、創作活動を続けることが出来る。そんなことを80代の恩師に真剣に話したら「あなた、そんな先のこと心配したってしょうがないわよ。だってもうピアノなんてちっとも弾きたくなくなってるかもしれないんだから!」と、言われた。
しかし私の耳はピアノの音だけはどんなに遠くても小さくてもキャッチしてしまう。いつか旅先の住宅街で遠くでかすかにピアノらしき音がすると思ってわざわざ近づいていくと、果たして本当にピアノの音だった。その知らない町の知らないピアニストは「月の砂漠」を練習中だった。場所や時間、曲の種類を選ばずピアノの音になぜか吸い寄せられる私はそこまでにピアノが好きなのか?と悩む。
腕が痛いと思ってはっと気が付くと、たくさんの食材を持ってまだスーパーの牛乳売り場の前に突っ立っている。ぼーっと妄想していて、ただの変な人だ。
「あなた、真面目すぎ。」
どこからか恩師の声が聞こえてくる。昔よくこう言われたっけ。 やはり、疲れ気味かも…。おいしいものをたくさん食べて体力つけるとするか…。好きなことをできる生活こそが幸せ。それは人それぞれだ。
そう自分を納得させてついついたくさん買い込む。たくさん食べてまた頑張ろう。
「私がピアノ教室に打ち込める理由」
もご覧ください。
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