2018.08.18
善雄「あのう、私が前回弾いた曲にも出ていたのですが、ギザギザマーク♒️⚡️はどう弾いたらいいですか?何か決まりがあるんですよね。trは確かトリルでしたかね。」
HEART「それは装飾音符といって、その名の通り音を装飾する役割を持った音符のことです。骨組みの音符の上に記号で書き込まれているものです。♒️⚡️もtrもトリラーとかトリルと呼びます。」
善雄「ギザギザマークは音符のひとつ上の音とふるわせればいいんですよね。」
H「はい。さっきの演奏でいいと思います。シについていたらドシドシ、ミについていたらファミファミ。それから、trは表記は違っていますがバッハは♒️⚡️とtrをあまり区別せず使っていたといいますから、この曲には2種類の表記がありますが同じ弾き方でいいでしょう。」
明夫「印刷された指使いば見ると大体どう弾くか分かりますね。」
H「う~ん…。ところが頼りの現代の楽譜もいろいろと使い方には注意が必要で…。最初のうちは足がかりにはなりますが、うのみにしないように。」
明夫「アクセサリーみたいに音を飾る感じに入れてもいいですかね?」
H「音に輝きを与えるために弾く時はそういう感覚です。他にも例えば“音楽的に重心が置かれる”“音楽の流れとしてここで心が震える”といところにも、心と一体となって深みを出すために装飾音符は使われます。」
善雄「記号として従うのではなく音楽的意味合いを重視するのが大事ですね。」
H「装飾音符というものを昔は演奏者が即興的に付け加えていました。しかし時代を経るにしたがって即興性を失い、作曲者が細かく書き記すようになっていきました。現代ではつける場所やその種類まで書いてある楽譜が多く、指使いも丁寧に印刷されているので、その校訂に従いながら案外うまく入れることができます。でも楽譜に記されているのは一例で、無数のバリエーションがありますので、いろんな人の演奏例を聴いてみてもいいですね。それぞれ違いますよ。ポイントは、どこでどういう装飾を加えるかはセンスが問われることです。その時代時代の暗黙のルールがあって現代人にはなかなか難しいものがあるのです。」
明夫「シャツの裾だしみたいですかね?式典でスーツ姿に裾出しはおかしかばってん、ジーンズでラフな服の時は裾出しがカッコよかですもんね。合わせる靴もそれぞれ違うし。ファッションって着る場面やその時の流行りでイケてるかが微妙に変わるじゃなかですか。でもそれは僕たちが今を生きていて、その感覚に日常的に慣れとるけん分かるとですよね。」
H「イケメンの明夫くんらしい例えですね(笑)でも当たってる!リズムをくずしたり、装飾音符を入れたりして粋な感じで弾くのがまさにバッハの生きたバロック時代の流行りだったようですよ。」
明夫「記号として従うのではなく、楽しんで、ですね。」
善雄「いにしえのバロック時代、典雅な時代のバッハ音楽に想いをめぐらせて、ですね。」
※「当たってくだけて平均律クラヴィーア曲集」はフィクションです。
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