子どもの経験知としての固定ド唱法を否定せずに、階名唱(移動ド)に移行する方法
2026.06.08
音の高さを表すCDEなどの「音名」と、音と音との関係を表すドレミの「階名」は実は違うものなのですが、この2つを混同してしまい、階名唱(移動ド読み)に抵抗感を持ってしまう方は少なくありません。まずは「階名」というものがあるということを知っていただけるだけでも嬉しいです。
子どもたちはピアノを習い始める前に、保育園のピアノ、ピアニカ、音楽番組など、さまざまな経験を通して「鍵盤の位置」と「ドレミ」がすでに結びついた状態で教室にやってきます。そのため、その大切な「経験知」をいきなり否定してしまうと、子どもたちは混乱してしまいます。
しかし、階名唱は西洋音楽の基本であり、いわば言葉の「ひらがな」のようなものです。各調の調号や調性感、長調・短調、主要三和音など、初級ピアノで学ぶ大切な要素はすべてこの上に成り立っています。だからこそ、なるべく音名と階名を上手に分けて指導したいと考えています。
そのためのアプローチとして、まずは鍵盤を「ドレミ」と読むのではなく、「CDE」などのアルファベットの音名で捉えるのが、一番混乱が少ないのではないかと思います。
音名を学ぶには「バスティン・ベーシックス」のシリーズがとてもわかりやすいと感じています。子どもたちがそれまで親しんできたドレミ読みを否定することなく、自然に音名を覚えていくことができます。バスティンは英語読み(シー・ディー・イー)ですが、そのあたりは子どもの様子を見ながら「Cメジャーはドイツ語ではC-Dur(ツェードゥア)って言うんだよ〜」とさらりと紹介したりしています。
そうしてアルファベット読みが定着してきたら、G-DurやF-Durをドレミファソラシドで読んでみたり、「最後のシャープが導音のシになるんだよ〜」と、少しずつ、ゲーム感覚で階名唱に慣れていきます。
まずは「こういう楽しい読み方・捉え方があるんだ」と知ってもらうこと。簡単なもので、1度だけでもいいので階名唱に触れてみること。こういった地道で優しい取り組みを通して、子どもたちがより深く音楽を理解し、楽しめる環境を少しずつ広げていきたいです。