2020.09.08
ピアノは、最初54鍵しかなかった。それが61鍵→68鍵→73鍵。と鍵の数を増やしていきました。(現在は88鍵)この事と歩調を合わせるように、時代ごとの、ベートーヴェンのピアノ作品の音域も広がっています。例えば、ピアノソナタ第21番《ヴァルトシュタイン》で使われている最高音が一気に上がったのは、前年に、〈エラール社〉の68鍵ピアノを手に入れたからです。又、ピアノソナタ第29番の作曲中には、《ブロードウッド社》製の73鍵のピアノを贈られたため、最低音が一気に「ド」まで下がっています。与えられた音域を目一杯使うベートーヴェンの楽曲は、当時のピアノの性能を限界まで引き出すと共に、残された楽譜には、それを超えた広音域を必要とするものも見られるなど、まさに革新的でした。ベートーヴェンのソナタは、ピアノの歴史が織り込まれていると、言われています。ちなみに、私が現在のピアノの最低音「ラ」を弾いたのは、ブラームスのラプソディー79番で、思わず〈出たー〉と思いました。最低音、最高音に出会うのを楽しみに練習に励みましょう。