2014.05.29
ご覧頂き、有難う御座います。小諸市のくろとりピアノ教室です。
今月もまた、美術に触れる機会が二度ありました。
長野県信濃美術館では、「放浪の天才画家 山下清展」を、小諸高原美術館では、「日展 長野県作家展」を観てきました。
「山下清展」では、画伯の放浪日記と共に作品が展示されていたので、その作品が描かれた背景が伝わりやすく、一点一点を楽しむことが出来ました。
山下氏が残した言葉もまた、心にじ~んとくる言葉や、思わずクスッと笑ってしまう言葉などが紹介され、印象的でした。
画伯は、油絵も描いたことがあるけれど、作品数は少ないのだそうです。
何故なら、旅の中で、その場所でスケッチはせず、頭の中に情景を記憶して後で描くので、乾きの遅い油絵の具は合わなかったのでは…と解説されていました。
「絵を上手く描こうとするのではなく、記憶の中から、描きたいと感じたものを感じたままに素直に表現している」との解説文もあり、その場で、ピアノ演奏について思いを馳せました。
ピアノ演奏は、ミスタッチなく上手く弾きたいという思いばかりになり過ぎると、かえって肩に力が入り、ガチガチに固くなってしまうもの。
又、曲を弾き始める前に、肩を緩めたとしても、演奏に夢中になっている間に、再び肩に力が入りだすこともあるものです。
何故、そういった事態に陥るのかについて、ある記事を読んだことがあり、なるほど、そういう事もあるかなと納得した部分もありますが・・・。
出したい音や、フレーズをこう表現したいなどの思いを、山下画伯のように、感じたものを感じたまま、肩の力を抜いて素直に表現が出来るようになるには、どうすれば良いか…と考えを巡らせるきっかけとなった「山下清展」でした。
ピアノは、鍵盤を押せば誰にでも発音出来る楽器ですが、特にアコースティックピアノは、同じピアノを使って弾いても、弾く人によって音色が異なって聴こえてきます。
音を出すだけなら簡単ですが、タッチや表現の仕方で全く違う音色・音楽になるところや、憧れの音色や表現・弾き方を目指して練習し、わずかでも目標に近付けた時の喜びが、ピアノの面白さだと思います。
そういえば、あるピアニストが、「未だに、自分で満足する演奏をしたことがありません。だからこそ、追究する面白さがあります。」と仰っていました。私が子供の頃からご活躍のピアニストですから、相当なベテランの方ですが、その方がそう仰る位ですから、素直に思いのまま表現出来るようになるには、まだまだ学ぶことは沢山あるわけです。
他の分野の芸術から、ピアノ演奏について思いを馳せた五月でした。