2024.09.13
鮮やなブルーがくっきりと東京.豊洲の空に広がった日、私は今年も、ピアノコンサートにおいて、FAZIOLIで演奏させていただきました。
6月の静岡での演奏会で披露したベートーヴェンソナタ(第一楽章と第二楽章)を演奏する予定でおりましたが、
右親指側手首のドケルバン病の治りが想像以上に遅い為、
本番1ヶ月半前に、左手だけで演奏する楽譜を取り寄せ、2週間でアレコレを弾いてみて選曲。
1ヶ月前に、本番までの残された時間と自分の技量、本番での仕上がり具合と人前での精神状態を考慮して、曲目を決めました。
ソロは、
ジャン・シベリウス 作曲 吉松隆 編曲
左手のピアノのための3つの聖歌より フィンランディア賛歌
プロピアニストの大井健先生との連弾で、
吉松隆 作曲
4つの小さな夢の歌~3手連弾のための-
春:5月の夢の歌 と、
秋:11月の夢の歌
の3曲です。
左手だけで弾くソロ曲は、5本の指のみで旋律と伴奏の全てを賄い、旋律を浮きたたせながらも伴奏は控えるという弾き分け技術が必要ですし、拍感を気にしつつ、鍵盤の下から上までを駆け巡ったり、跳躍移動の忙しさの中、タイミングを遅らせずに和音を瞬時に掴みながらメロディと内声の分離もするので、指の筋力とコントロールが必要であり、とても難しいです。
以前の私でしたら、利き手ではない左手はもっと使い物にならなかったので、長い年月の積み重ねにより、この方法を選択できたのが良かったと思います。
また、急なお願いにもかかわらず、大井健先生が快く連弾をお引き受けくださいましたお陰でもあります。
準備期間の短さと加齢による記憶力の衰えなどで、フィンランディアは、伴奏部分の和音が何かは分かっていても、どう転回していくのかが、なかなか自分の中に入って来ず不安でしたが、本番3日前になり、ようやく、入った感覚がありました。
連弾は、美しい2曲の季節感の対比と、プロピアニストの先生と演奏させていただける貴重な機会を、存分に楽しみました。
レッスン時に大井先生から、今回の私の選曲について、
「流石、普段ピアノの先生をされているから、今の自分の手の状況を寧ろプラスに捉えた選曲で、本当に素晴らしい。寧ろプラスになっていると思う。」
とお褒めいただきました。
連弾についても、
「(私自身の中に)音楽.曲についてイメージが付いているから、合わせていて、とても弾きやすいし、伴奏がすごくお出来になる人のピアノだと感じた。メロディの人の音を聴いて伴奏するのは得意なのでは?今、僕はすごく弾きやすかった。」
と仰ってくださいました。
私としては、得意とは申しませんが、もし、何かが活かされているとすれば、子供の頃に合唱のピアノ伴奏を沢山してきた事や、現在、幼い生徒さんとは必ず、仕上げに連弾をしており、大きい生徒さんとも、タイミングが合えば連弾をするので、そういった事が助けになっているのかもしれないと思いました。
本番後は、お聴きくださった方々からは、
「始め、左手だけで弾いていると気が付かず、まるで両手で弾いているかのようだったので驚きました。」とお声掛けいただけ、
大井先生からは、「レッスンの時より良かった。」とのお言葉を頂戴し、レッスン後から本番までの残り約1週間で、先生からご指摘いただいた事を直すべく、練習をやり遂げた甲斐がありました。
今年度の、私が構想していた演奏会参加プランは、病のため計画通りにはなりませんでしたが、
この罹患経験が、今後同じ状況に陥ったどなたかのお気持ちの救いになるかもしれません。
又、左手のみの演奏について学ぶ稀有な好機となったと同時に、
プロピアニストの方との連弾を通して、聴き手へ配慮した視点も、大変勉強になりました。
今は病をきちんと治し、回復したら、また次の目標を見付けて、頑張り過ぎない程度に、向き合っていきたいと思います。
【小諸市東小諸・くろとりピアノ教室】