2022.12.15
話題の映画「ラーゲリより愛をこめて」
私の父も大学在学中に招集され、終戦と同時にソ連に強制連行され、極寒の地で3年間の地獄の強制労働を強いられました。
子供の頃、「シベリア抑留」と聞いて
「抑留?」って何?と思っていましたが、
結局、奴隷です。
父と同じ収容所に居た方が大学の教授になられ、「シベリア収容所」の著書を出されました。
軍国教育を受けて来た日本人60万人もの男性が、何故何の抵抗も無く、ソ連の言うまま列車に乗ったのか?
著書の中でその方は、自分達は、上官から
「ソ連軍が来たら、武器を捨て、従う様に。」との命令を受けていたと書かれています。
そしてその上官達は、自分の家族と共にいち早く日本に帰国していた。
つまり、上官は自分達をソ連に売ったのだと。
そして、何年も後に、命からがら自分達が帰国した時、その上官達は、のうのうと日本の大企業の中枢に君臨していたーー。
父は、殆ど収容所の話はしませんでしたが、
私が一度、
「どういう気持ちで極寒のシベリアで過ごしていたの?」と聞いた時、
父は、
「日本へ帰るーと言う希望を持てなかった者は皆、死んで逝った。」と答えたので
「希望?」
日本からも国際社会からも見放された中でどうやって「希望」等持てるのか、私には理解出来ませんでした。
父は、定年後、毎年、同じ収容所仲間との1泊2日の集まりに喜んで行く様になりました。
帰宅して
「収容所で仲間を裏切る行為をした者は、この集まりに来れないらしいが、皆も、もう気にせず、アイツも来れば良いのになあーと話していたんだ。」と父が笑顔で話した時、
どうすれば、そんな仏様の様な気持ちに成れるのか?
それも私には、理解が難しかったです。
父は、
「ソ連は必ず又、日本を侵略に来る。
ソ連とはそういう国だ。」と言ったので私は、
(もう、平和な時代なのにーーー)と思っていましたが、今のウクライナ侵攻を見ると、やはりーーと。
父は、
「敗戦国とは情けないものなんだ。」と話していましたが、ロシアに攻め込まれたウクライナ東部の住民の多くの方々が、拷問を受けて亡くなっていたーーとのニュースに父は、子や孫の世代の事を本気で心配していたのだーと痛感しています。
あの映画で少しでも若い方々に
父の世代の筆舌に尽くし難い、苦難が有った
と言う事を知って頂きたいと思いました。
子供達の世代の平和を願うばかりです。