2019.07.09
昨年11月の井上二葉先生のリサイタルの頃、デームス先生も来日されコンサート、とお聞きし、お元気にお過ごしと拝察させて頂いておりましたので、4月の訃報は驚きました。
スコダ、グルダと並び、ウイーン三羽烏と絶賛されたイエルク・デームス先生。
小嶋素子先生のご厚意でデームス先生のレッスンを何回か聴講させて頂きました。
ある時、午前のレッスンが終わり、昼食に一旦帰宅しようとしていた私に素子先生が
「午後のレッスンも直ぐ始まるから、先生も此処で食べて、食べて」とお声を掛けて頂き、恐縮しながらも先生のご自宅のダイニングで昼食を頂いているとそこにデームス先生が(*'▽')
大きな身体の先生は私の隣の小さな椅子に座られーー
ウソーーー((+_+))デームス先生と並んで食べてるうーーーーー(*_*;
デームス先生の演奏で一番印象に残っているのは、シューベルトの即興曲作品90-3のpp(非常に弱く)
迂闊にも私は何故かその時足を組んでしまっており、その足を戻したいのですが、先生のこの上なく美しいppがさくらぴあのホールの壁を伝って後部座席の私の所へも流れて来てーー。
聴衆の誰もがこのppを聞き逃すまいと全神経を耳に注いでいる中、繊維の擦れ合う音すら出す事等、決して許される事では無くー。
あれ程美しいppは後にも先にも聴いた事が有りません。
デームス先生のレッスンは、時に非常に厳しい言動もお有りだったのですが、そんな中、レッスン室に小嶋先生のお母様が入って来られると
デームス先生は
「ママ、ママ、ありがとう♡」と
瞬時にまるで少年の様な優しい表情になられ、
お母様がソファーに座られるのをゆっくり見届けられるとまたレッスンを再開。
デームス先生の心優しい一面を拝見させて頂きました。