2015.06.10
先日、石田尚志さんの映画作品集「驚異の部屋」を見てきました。
イメージフォーラム・フェステバル2015の中で、石田さんの8作品
絵巻1995
絵巻その2 1996
部屋・形態 1999
フーガの技法 2001
椅子とスクリーン 2002
絵馬。絵巻2 2006
涙の映画 2007
燃える椅子 2013
石田さんの作品を続けて見たので、考えていることや世界観が分かりやすかった。
断片的や、一作品だけ見ても、あまり分からないと言うか、伝わりにくい作品もあるかもしれないと思いました。
絵巻、絵巻2でも、バッハの音楽に、窓のような長方形の形がモチーフに模様や複雑な抽象ドローイングと有形無形にほどばしる光と影が遠近法でスパークしていた。これは、音楽を聴いて、描いていると思います。
そして、部屋・形態では、石田さんは、御兄弟なのか?石田正志さんが音楽担当で
作品に後で現代ピアノ音楽を付けているように思えた。
そして、フーガの技法
フーガは、あるテーマがあり、そのテーマが次々に出てきて、対位法的な要素でバッハが書いているものなんですが
音楽が先行で(オルガン奏者はトン・コープマン氏)描いているのではと思う。
石田さんは楽譜を見ているもしくは、ピアノを弾けるのか?と思いました
。
最後にほんの短い時間に映し出された、カット写真と楽譜を並べられたのを見せられて、
楽譜も絵のように見えてしまえば、音符の配置などを、彼独自の視点で生命が躍動するような模様に変身させて「フーガの技法」を描いていると思う。
つまり、聴いた音楽と視覚から楽譜で見たものを頭の中で融合させて、石田さんなりのいつもの唐草模様があちこちと散乱し
絡み合い、溶け合い、崩れ合い、・・・という具合に作品化されたように思う。
私はフーガの曲を聞くと、メロディが、聞こえるから、「あっ、次は5度下の音から始まるモチーフだ。また最初の音から一オクターブしたの音からのモチーフだ」と聞きながら、石田さんの作品を見ていて「あぁ、なるほどね。この人はよっぽどバッハがお気に入りで
大好きなんだなぁ」と思った。バロック音楽と石田さんの「窓」は、小節線の箱とも通じるものがあると思います。
でも、その後の「涙の映画」などは、音楽はほとんど効果音に近いような、所謂、前衛的な音楽を鳴らしているけれど
実は、こういう現代曲は、抽象的すぎて、スタイル(音楽様式)がもう崩れているから、あまり心には響かずに
映像に音を付ける形で作られていて、最後の「燃える椅子」も、タイトルそのままの映像が映し出されていたように私は思う。
面白いととるかは、私も疑問に残る作品だったけれど、今回、年代ごとに彼の初期作品から見られたことで
理解はできるところもあった。つまり、テーマは自然、そしてモチーフは長方形型の窓のようなもの。
その中に、映し出すのか、そこから、はみ出るのか、それぞれをその「窓」から映し出していたから、拘りは「窓=彼の心」なのでは・・・。