2018.06.25
高麗屋の襲名歌舞伎公演に出かけた。
襲名披露は、数年にも及び、プレッシャーもあるだろう。
白鴎さんの「魚屋宗五郎」は、とにかくうまい。
演技ではない、自然でその人がそのままいるようだ。
幸四郎さんは、「春興鏡獅子」
匂い立つような美しく見事な女形役で、目が離せなかった。
芸達者で、かつ芸の幅が豊かに広い高麗屋。
新顔の染五郎さんも楽しみだ。
時代物の狂言である「俊寛」を演じた片岡仁左衛門さんで、初めて拝見した。
役者が、違えばまた世界観が変わる。
お若い時からハンサムで律儀かつどこか紳士的な面影を隠しながら、年老いた浮浪者は、年齢を重ねられたからこそ、こういう役を演じるのかな。。と私なりに解釈した。
政治犯で島流しになり、生死を見つめた人間ドラマ。近松門左衛門の話はドロドロと心の中をえぐるようで、いつもせつない。
魚屋宗五郎と言い、現代を映し出した内容で、人間の器量や、生き方さえも考えさせられるものであった。
以前、私がブラームスのソナタ1番を弾きたいと師匠に伝えたところ、もう少し年齢を重ねてからね、、、と言われたことを思い出した。人としての厚みや、器が備わってからこそ、理解できるという事だろう。
芸の道は果てしなく遠い。