2015.06.14
先日、兵庫県立劇場にて話題のオペラ
『フィガロの結婚 井上道義×野田秀樹 』を見て参りました。
これまで数々の刺激的かつ強いメッセージを発信してきた演劇界の鬼才野田秀樹氏によるオペラ演出。
野田秀樹ファンとしてはこれは見逃せません。
まだ秋まで公演が控えているとの事なので
あまりネタばらしをしてはいけないので少しだけ。
舞台は江戸末期の長崎。
黒船に乗ってやってきたアルマーヴィ伯爵とその夫人
彼らは日本にお屋敷を構えて日本人の召使と暮らしておりまする。
お話を進めるのは狂言回し役、庭師のアントニ男。
舞台では俳優と歌手
日本語とイタリア語が飛び交い
ときにはドタバタ喜劇さながら、なにやら混乱したことになっております。
ですがこの「混乱」こそモーツァルトの喜劇オペラの真骨頂ではないかと思うのですね。
奇想天外な話の展開、言葉遊び(翻訳ではこれは分かりにくいのですが)、ぴりりと効いた権力批判。
おー、これってまさに野田演劇の魅力と一緒ではないですか。
野田秀樹氏、今回はテキストの翻訳にもこだわったそうで
時々、字幕にドキリとする言葉が出てきます。
舞台芸術も興味深かったですね。
これも野田演劇ではよく使われる手なのですが
箱や棒、つまり簡単な道具でたくさんの状況を表現する。
この手法は見る側の想像力が加わって成り立つわけですが
舞台という空間を超えて自由にイマジネーションの広がっていくのが楽しいですね。
さてさて、最後には衝撃の結末が待ち構えているのですが、それは秘密にしておいて。
正直なところ、
野田演劇のあのスピード感、刺激の強さを知ってしまっている身としては
中途半端感、物足りなさを感じる部分もあったのですが
それでも、見る価値あり、と言っておきましょうか。
それに、まだまだ公演は続くようなのできっと進化していくはず。
あなたの街に公演が来た時には是非是非ご来場あれ。