2015.01.22
ハ長調は白
ヘ長調は黄色
ニ長調はオレンジ
というのは、私の勝手なイメージ。根拠のない妄想、、、なのですが
どうやら随分と昔(バロック時代以前)から、それぞれの
調には性格があると考え研究を重ねて来た方が少なからずおられるのですね。
ところが、ここに素朴な疑問が。
調のキャラクターは二種類だけでは?
長調と短調の性格は明らかに違うけれども、どの音を主音にとるかでキャラクターが変わるのは理論上ありえないんでは?
実は生徒さんからも楽譜に付けられた沢山の♭と♯を前に
「どうしてハ長調(イ短調)じゃ駄目なんですか?」
と溜息まじりに質問されたことが数回あります。
そうなんです。
読譜に不慣れな場合、この沢山ある調号が苦労の種になっちゃうんですよね。
全部ハ長調で書いてくれたら楽なのに!
この疑問を紐解くには音楽の歴史を遡らなければいけません。
旋法、調律法、そして修辞学。
長ーい話になりそうなので、今日は旋法について少しお話ししましょう。
旋法とは今日のドレミファソラシド(長調)、あるいはラシドレミファソラ(短
調)という
長短の音階が整う前に使われていた古い節のことです。
沖縄の歌を聞くと、その曲が沖縄の曲と知らなくても、頭の中にでいごの花と珊瑚礁の海が広がりませんか?
えっ、広がらない。
では、日本の古い子守歌は、童歌は?
ヨーロッパ音楽を聴いた時には感じない、独特の哀調を帯びた、もうただ日本的としかいいようのない懐かしい気分になりませんか。
これこそ
節の力
。
実はヨーロッパ音楽も長短調のシステムが整う前は
旋法(節)によってメロディが作られていたのですね。
ドリア旋法、フリギア旋法、イオニア旋法 、、、などなど。
そして
それぞれの旋法に特有のキャラクターがあったと。
どうやら、
この旋法の持っていたキャラクターを幾つかの長短調が引き継いでいるようなのです。
少し紹介しておきましょう。
ハ長調ーイオニア旋法ー陽気で活発
ニ短調ードリア旋法ー温和で敬虔(信仰心)
ホ短調ーフリギア旋法ー非常に悲しい
イ短調ーエオリア旋法ー穏健、優しい、いくらか悲しい
(調と旋法の関係はマッテゾンの文献より、
旋法の性格はヴォルフガング・カスパール・プリンツの説明より引用)
むむむむむ、、、こじつけ?
でも 葬送のために作られたJ.S.バッハの奥深いモテット
『イエス我が喜び(Jesu meine Freude)』
。この名曲が、人の最も悲しい気持ちを表すというホ短調(フリギア旋法)で書かれている事など、単なる偶然とは思えないんですよね。
(つづく)