2013.07.07
時々、耳にする話。
クラッシックの演奏会の拍手のタイミングがわからない、と。
なるほど。私もジャンルの違う舞台を見に行ったときなど、周りの様子を伺いながら拍手をしていますので、演奏会に行き慣れない方の正直な感想だと思います。
でも同時に、拍手をするのに何か決めごとがあるというのも、おかしな事だなぁ、と思うのです。ところで、拍手をするのはどんな時でしょうか。
演奏者が出てきた時の拍手。
あれはこれから素敵な音楽を聴けるぞ、というワクワク感や、頑張ってね、という応援のメッセージですよね。
そして、演奏後の拍手。
それは、「すごく良かった、心が動いたよ〜」とか「楽しい時間をありがとう」と言う思いを伝える動作だろうし、また拍手をすることで、演奏者と、そして他のお客様とも繋がれると思うのです。
そう思うと、
「拍手のタイミング」とは、心が動いた時、その時じゃ無いかと思ってしまうのです。
確かに、クラッシック音楽会では、ここでは拍手はしない、と言う暗黙の了解みたいなものはあります。でも、こういう風習は、その時代時代で変わっていくかもしれませんしね。
(たとえば、暗譜で演奏するようになったのもロマン派以降のスタイルなんですよ。)
とは言え、やっぱり拍手でフェイントすると気恥ずかしいわ、と思われる方も多いかと思います。ですので、ちょっとだけ拍手のタイミングの秘訣を(いえ、別に秘密でもなんでもないんですが)お伝えしましょう。
組曲、シンフォニー、ソナタ、と名前のついている曲。これは数曲がセットでひとつの曲になっています。ですので普通、
各楽章間、曲間では拍手はしません。
とは言っても、そもそも聞いている途中で何曲目を演奏しているのかが分からなくなると言う方もおられるかもしれませんね。かく言う私も現代音楽の演奏会などでは時々、何曲目かを見失っております。
その場合はどうするか?
演奏者の姿をじっと凝視しましょう。よ〜く観察していると、演奏が終わると同時に奏者から張り詰めた空気が抜けていくのが見えると思います。
えっ、見えない?
いえいえ、ピアニストなら鍵盤上にかざしていた腕をすっと胸元に戻したり、、表情がすっと柔らかくなったり、もしかしたら小さく息を吐いているかもしれません。きっと何かしらのサインを読みとれると思いますよ。
そして、そのサインが現れるまでは、是非とも
奏者と一体となって、ホールに消えていく最後の一音を味わい尽くしていただきたいのです。
そして、最後の一音が消えていったときに、その余韻とともに拍手を、納得のいく演奏であれば沢山の、残念ながらあまり心が動かなければ少し少ない目の拍手をしていただければ、と思います。