2023.01.03
まる年まる月まる日、
動物たち、つまりゾウとライオンとキリンはカンカンに怒って行動を起こします。
「すべては子供たちのために!」
なぜって、人間の大人たちがあまりに不甲斐ないから。
戦争でたくさんの人たちが悲しい思いをしているのに、人間の大人たちは会議をするばかり。ちっっっっっっっっっとも戦争を終わらせようとしない。
これじゃ子供たちが可哀想じゃないか!
これは絵本『動物会議(作:エーリッヒ・ケストナー、絵:ヴァルター・トリアー)』の冒頭部分。
話題になっていると知り、ちょうどクリスマス・プレゼントを探していた時で、これはちょうど良いかも、と読んでみました。
可愛らしくも決断力・行動力のある動物たち、
世界中から集まってくる動物たちの波瀾万丈な旅、
ちょっと愉快で、清々しくて、
でも目的は一つ「すべては子供たちのために!」
動物たちが、だらしのない人間に突きつけた要求の中に「国境をなくせ」というのが有りました。私もだらしの無い大人の一人なので、そんなの無理じゃん、と思いました。
でも本当にそうかしら?
世界にはそもそも国土、つまり国境を持たない民族がいるんですよね。
流浪の民と呼ばれ、時に下げずまれ、追いやられ、でも独自の文化や言語を持って、周辺民族と関わりながら生きている民が。あるいは多民族・多言語が混在しながらも緩やかにコミュニティを作っている地域が
世界には大国の都合である日突然、人為的にひかれた国境線というのもあって、それが結構あって、こっちの岸とあっちの岸、それまでは挨拶しあっていた隣人が、いきなり撃ち合いをさせられたりする。
「国境をなくせ」。
もしかして動物たちの要求は至って正当かも。
そして、その要求はだらしない大人のためではなく「子供たちのために!」
世界中の動物たちが、同じ志のものとに集まって智慧を捻ったように
今世界中の心ある人間たちも、結束して戦争のない世界を要求するべきじゃ無いのかな。
「すべては子供たちのために!」