2020.03.14
自粛勧告でコンサートも仕事もままならない日々
それならば読書や勉強に、と気分を切り替えて暮らしている時にはまってしまったのがこれ。1920年代の台湾を舞台にしたドラマ『ダーダオチェンの夢(紫色大稲程)』。
そもそもは題名の”la garande chaumière violette”にまんまと引っかかったんです。フランス語のドラマかな?と。いや、思いっきり中国語(台湾語)だし。
でも日本植民地時代の台湾に興味を覚えて見ていると画家の
陳澄波(チェンチェンポー)が登場。
チェンチェンポーって、あのチェンチェンポー?
実は私、台北の故宮博物院でチェンチェンポーの絵を見ているんですよね。
始まりはグレゴリ青山氏のエッセイ。そこで陳澄波の名前を知ってから気になっていた画家。台湾に行くことがあれば彼の絵を観たいと思っていたら、偶然にも故宮博物院で回顧展をしていたと。彼の最期の作品『玉山積雪』の清冽な印象は、今なお私の目と心に灼きついています。これはまた何のお導き?といよいよ前のめりになってドラマを見始めたわけです。
ドラマでは、日本植民地時代の1920年が、往年の画家郭雪湖の昔語りとして再現されていきます。どこか懐かしい香りのする大稲程の街並み、日本の植民地政策に反旗を翻し独立運動を展開する人々、その差別に抗いつつも西欧文明の入り口として日本に憧れる若き画家たち、伝統芸能とその伝統に挑戦する熱い舞台人。そんなドラマを台湾茶の香りと風景の煌めきが彩っていきます。
日本が台湾を支配し差別政策を敷いたことは断固として許しがたい歴史の過ちです。が、また其処には日本と台湾、中国の文化が交差した生き生きとした芸術が芽生えていたと考えても良いのでしょうか。
まだまだよく知らない南のお隣さんを訪ねてみたくなりました。