2019.02.10
2019年1月29日の橋本治さんの訃報を目にして思わずため息がこぼれました。
いえ、それほど熱心な読者だったわけでもないのですがね、
でも書店で治さんの書籍を見つけると、つい手にとってパラパラと捲ってしまう。
そんなちょっと気になるお兄さんでした。
今、手元にあるのは二冊
『人はなぜ「美しい」がわかるのか』
『国家を考えてみよう』
難解な哲学用語を連ねているわけでは無いのだけれど、
読み始めれば、彼方此方と橋本さんの思考の迷宮に誘われ、あれ、この言葉にはこんな複雑な背景があったのかしら、と驚かされる。理解できたことはほんの少しなのに、わかった気になって、ちょっと賢くなったかしらと自惚れてみる。
でも、久しぶりにパラリとページを捲るとやっぱり全然わかっていなくて、もう一回読もうかしら、て。
結局私が彼から学んだことは、世界は私が思っているよりももっと複雑で、もっと美しい、と言うことだけ。
そんな橋本治さんの書籍の中でも『国家を考えてみよう』はちょっと特別でした。
想定していた読者は、中学生くらいでしょうか?
国家を考えてみるために「国家」を考えないところから始めよう、と言うのは橋本さん流のお茶目な問題提起。でも、これまで読んだものと較べると、ずいぶん読みやすく、親しいやすく、今から思えばこれは未来の世代へのメッセージだったんだなぁ、と思います。
この本の最後はこんな言葉で締めくくられています。
『「国家は我々国民のものである」ーこのことをはっきりさせるために、私はこの本を書きました。「バカでも国民か」なんてことを言われないように、考えるべきことは考えて、自分が立っているその足許だけは明確にさせましょう。
これで終わりです。』
橋本治さん、さようなら そして ありがとう!