2017.09.23
「THE BEE」と言うお芝居のことを思い出します。
見たのは、、、さあ、5年くらい前だったでしょうか。
筒井康隆の「毟りあい」という小説に着想を得たというこのお芝居は
押し入り強盗に妻子を人質にとられたサラリーマンが、
その強盗の自宅に押し入り、その妻と子供を人質に立てこもる、という筋書。
(やられたら やりかえせ)
最初は強盗犯が妻子を解放すれば、サラリーマンも相手の妻子を解放する。
という要求だったのが、次第に報復の応酬におちいり
残忍さはエスカレートし、連続する狂気が日常になっていく、、、
(やられたら やりかえせ)
という、身も蓋もないお話。
狂気を象徴する蜂の羽音が耳につき、
見終わってなお、ザリザリとした嫌な感情が残ったことが忘れられません。
今、「憎悪の応酬」が繰り返される現実を目にし、それと同じ感情が募ります。
このお芝居には救いがありませんでした。
強盗犯とサラリーマン、どちらも相手の要求をのまず、いつまでも諦めず
いつしか人質解放という目的さえも曖昧になって
憎悪に取り憑かれた狂気の世界
それを押しとどめる者は最後までやってきませんでした。
狂気と憎悪の応酬にはどうやって抗えば良いのか。
もはや答えは出ているように思います。
理性と調停。
それ以外の選択肢は無いと思います。