2017.01.21
寒風をついて「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」展に行ってきました。
A.ヴェルフリはスイス・ベルン生まれ。
アール・ブリュット(アウトサイダー・アート)を代表する芸術家で、一生の長い期間を精神病院で過ごしました。
実は本格的なアール・ブリュットに触れるのは初めて。
ドキドキしながら会場へと足を踏み入れます。
真っさらな新聞紙(印刷されていないもの)にビッシリ、空間を埋め尽くすように不可思議な文様が書き込まれています。人の顔も見えます。
小さくため息がでました。
私の知らない世界。
どうやって解釈したら良いんだろう、、、。
一瞬ためらいましたが、すぐ気づきました。
今日は解釈や評価は一切加えず、ただ感じるままに画面を目で追ってみようと。
細部をみたり、一歩後ずさって全体を見渡したり。
すると、一見無秩序に見える文様の組み合わせが不思議に秩序立って構成されてることがわかってきました。
それは時に中世の古い聖書のようにも、手書きの楽譜のようにも、
はたまた曼荼羅や黙示録、ペルシャの絨毯、
几帳面につけられた会計簿、
板書された数学の公式にも見えました。
連想は限りなく連なり、宇宙にも届くかと思わんばかりに広がっていきます。
そして、気づきました。
ああ、これが彼の見ていた世界なのだと。
この世界に住むことは随分大変だったろうなと。
翻って私の見ている世界は?
私が認識しているものは、世界のほんの一部分だと思いました。
人間の脳は限りなく謎にみちて、壮大で、不可思議で。
でも大多数の人はその全てを知ることを無意識にさけ、
制限なくそれが見えてしまう人を、ときに「狂人」と名付けているのかもしれせん。
※ アール・ブリュット(仏:生の芸術)
英語でアウトサイダーアートと訳される芸術。
特に芸術の伝統的な訓練を受けておらず、名声を目指すでもなく、既成の芸術の流派や傾向・モードに一切とらわれることなく自然に表現した作品のこと(wikipedia)