2016.11.26
「もっと感情を込めて弾きなさい」
こんな指摘を受けて戸惑った経験はないですか?
自分では感情を込めているつもりなのに伝わらない。
そもそも、どんな感情を込めれば良いか分からない。
仕方なくそれっぽく弾いてみると、今度は演技だと怒られる。
感情を込めるってよく分からない!
そんな困惑にもシーモア先生は懇切丁寧に答えてくれます。
たくさんのヒントが書かれているのですが、私が最も興味を惹かれたのは呼吸の話。
「感情は呼吸によって高められる」
つまりシーモア先生はふさわしい呼吸をすることによって、音楽を感じる能力が増すと言うのです。
この感覚を説明するのはとても難しいのですが
例えば、私は最初の第一音を出す前の呼吸にとても注意します。
これから始まる音楽と同じテンポと深さの一呼吸を取るだけで、演奏の安定感が全く変わってくるのです。ゆったりした音楽では深く長いブレスを。緊張感とスピードのある曲では早く鋭いブレスを。中でもアウフタクトで始まる曲は工夫が必要です。
そうして自然な流れで曲を始められたら、あとは音楽に身をまかせる。
肩の力を抜いて、心を空っぽにして、音を体に響かせて、音楽と一体化する。
すると思いの外良い演奏ができたりするのですね。
不思議なことに、感情は込めようとすればするほど逃げていく。
そんな風に感じていました。
シーモア先生はこう言います。
「ひたすら受け身で、感じやすい状態で待つ」のが重要であると。
それは、さながら写真のネガに光が作用して映像がうかびあがるように
「音楽への反応を無理やり引き出すのではなく、音楽が自分に影響を及ぼし、自分の中に浸透するのを許す」つまり「自分から音楽を見つけようとするのではなく、音楽に自分をみつけさせるのである」と。
とても貴重なアドバイスだと思います。