2016.02.25
オスカルさま、ごめんなさい。
バッハ、バッハといつも騒がしく申しておりますが私は何となくインベンションが好きではありません。正直に申し上げれば3声のシンフォニアのほうも今ひとつ・・・
でも平均律クラヴィーア曲集は大好きでございます。第1巻から例を挙げますと、あの有名なハ長調のプレリュードの美しさ。それに続くフーガは後半のテーマの重なりが絶妙で引き込まれますし、嬰ハ短調の荘厳さ、変イ長調の優しい調べ、イ短調の苦しいまでの切なさ等々・・・。1,2巻ローテーションですべての曲を日常的に弾いております。
またフランス組曲なども大好きでよく弾いております。短調で綴られた第1~3番、長調の第4~6番。メヌエットやガボットという舞踊の名がついていようとなぜか崇高で敬虔な空気が隅々にまで満ちております。イギリス組曲もパルティータも時々取り出しては深いところから聞こえてくる音楽の真髄に耳を澄ませています。
バッハの音楽はもうこの上ない精神世界への招きとなり、この珠玉の作品の数々をいかにして生きておりますうちに満足のいく弾き方ができるようになるかが一生の目標となる、そして価値のある偉業となる、とでも言えそうでございます。
しかしなぜかインベンション、シンフォニアが好きになれない・・・。
そんなある日オスカルさまがお弾きになってらっしゃるピアノが聞こえてまいりましたらなんとインベンションではありませんか。それもある日は2声の4番でしたりまたある日はよりによってあの弾きにくい5番でしたり・・・
フランス革命前夜のベルサイユでバッハの浸透度がどれほどだったかはよく存じませんがオスカルさまは剣の腕前だけでなく、ピアノの腕も相当と言わざるを得ないようでございます。驚きましたのは貧しい家庭に育ってきて最近ジャルジュ家に引き取ったばかりの初心者ロザリー嬢までもが、な、な、なんと3声のイ短調をすらすらと弾いているではありませんか。
オスカルさまが手ほどきなさったのならピアノ講師としての腕も超一流と言わねばなりますまい!
それほどまでにインベンションとシンフォニアに情熱を傾けられておりますのに、オスカルさまごめんなさい。そんなあなたの愛奏曲インベンションが好きではなくて・・・
(※「ベルサイユのばら」の再放送は先日終了しました。)
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