2015.09.07
“楽譜の中で音のない箇所とその長さを表す記号。”
「あ~どうも風邪ひいたみたい。今日は会社を休もう。」普通休むといえばゆっくりする、というイメージです。
一方音楽の場合、休符とは休むという意味以外にもいろいろな効果、役目があり、あなどれません。
音量がぐんぐん大きくなっていって曲が最高潮に盛り上がったところで休符!!というのは休符の効果のひとつのパターンです。音楽でいう休み記号は、「お休み」なんてなまやさしいものではなく、音を持つ記号以上にものをいいます。様々な感情を凝縮された形で表すことも多いようです。分類したことがないので何種類あるのかは分かりませんが、たくさんのバリエーションがあります。
例えばラヴェルの「夜のガスパール」“スカルボ”1ページ目。よくぞここで休符!というくらい見事なもので、謎の“スカルボ”という生命体がどんなに恐ろしいものかを休符という記号が聴き手に想像をさせます。作り込んだ、書き込んだものよりもより段階が上のもの、聴衆の頭の中での№1を、いやそれ以上を想像させるのが休符かもしれません。
また休符はシューベルトの曲にとても多いように思います。 D.960ピアノソナタ第1楽章左手のトリルの後の休符の不気味な沈黙。死の淵に立たされているような不気味さのようでもあり、許されている安らぎのようでもあり、すべてを諦めたひとの無の状態のようでもあり、休符がただ事でない状態を表現しています。 即興曲の中にもいろいろなものを表現している休符が多数あります。シューベルトの静寂は本当におそろしく、すさまじいものがあり、時空を超えて休符が聴き手を異次元へさらっていくような感じに襲われます。
極めつけはジョン・ケージの「4’33”」という音符自体がもともと存在しない曲です。(休符が書いてあるわけではないのですが)一応楽器を使用するようですが何でもよいようで、聴衆は自分の中に聞こえてくる音に静かに耳をすまします。聞こえてくる音は舞台上の楽器の音楽かもしれないし、外で今さえずる鳥の声だったり、ある時は思い出の中の情景のなかで聞いた音、例えば汽笛であったり雨の音であったり、はたまた自分の内なる声であったりするかもしれません。そう考えてくると、集中して耳を傾けている時間、なんと私たちの周りはすべてが音楽だということになってしまいます。
休符は偉大なり!
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