2015.04.27
本当によくできたドラマや映画は、ストーリーに矛盾を感じさせません。映画が始まってしばらくは自分のいつもの価値観でスクリーンを見ている。しかしよくできたものはそのうちものの見方や感じ方、世界観まで自然に変わらされてしまいます。いい作品ほどそこがうまい。気が付かないうちにあり得ないことを納得させられてしまうわけです。
そんなことを思っていた矢先、知人と今話題のテレビドラマの話に。そのドラマに納得できるものを感じられないでいた私は
「どうも最近人気のあのドラマだめなんですよ・・・うけつけないんです。」
と言いました。すると知人は
「は、は、は。それが“年”というものですよ。」と言うのでした。
まあ、大変!!
年齢とともに考え方も感じ方も柔軟ではなくなるのでしょうか…?
最近、テレビのドラマや映画を見ていても「こうじゃないのでは?」ということが増えているような気がします。ストーリー展開も登場人物の台詞も説得力に欠け、納得できません。
さて、ピアノを演奏する場合は自分が表現をする側。聴衆を納得させなくてはなりません。時代を超え生き残ってきたクラッシックは曲自体がもうすでに完璧にバランスがとれています。しかも大作曲家の揺るぎない哲学に裏付けされていますから、自分本位な弾き方にならないようにいろいろな角度から作品を見つめ理解するようにします。
しかし本物の持つ説得力とは凡人の私には今はとてつもなく大きくまだまだ手の届かない憧れのものです。演奏には純粋な感動の他に、どれだけその音楽を理解しているかもストレートに音に出てしまいます。更に人前で弾くとなるといつもとは違う精神状態と指の状態との格闘という事態に追い込まれたりすることもしばしばで、練習の段階で感じていた曲の宇宙を100%表現するのは至難の業です。このように今の段階では自分の演奏に対してはがっかりすることばかりです。それはまるで納得できないテレビドラマそのものです。
本質を表現する音作り、本質に切り込んでいく構成力や理解力、更に作曲家自身への肉薄・・・。自分のピアノを聴いた方が本当に納得していい音楽だったと思っていただける演奏が究極の目標だということは言うまでもありません。そして年齢を重ねることによって確かに頭が固くはなっていくけれど、いい意味で確固たるものへ向かっていることだと信じたい・・・。
物差しの数はどんどん減っていくのかもしれないけれど、最後に残った物差しが頑なでもいいから真実を語るものとなってほしいと思いたい今日この頃です。
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