2014.10.06
~「せーんせぇー、なんでこれ踏むと鍵盤が動くのー?」と、聞かれて過去何十回も子ども達に説明したピアノの装置。イタリア語で[一弦]の意味でハンマーが同音の全3弦のうち1弦(現代のピアノは2弦)のみを打つ。u.c.と表記され、シフトペダル(ソフトペダル)を踏むことになっている。子どもは必ずこれを踏んで遊び、鍵盤が横に動くのをおもしろがる。~
ピアノはペダルの操作抜きには不可能と言われるくらいペダルの役割は重要です。右のペダルがダンパーペダル。鍵盤から手を離しても音が残ります。真ん中がソステヌートペダル。特定の音だけが残るように踏みます。そしてウナコルダの指示の時に踏むのがいちばん左のシフトペダル(ソフトペダル)。音を柔らかくしたり、小さくしたりするときに使います。(※グランドピアノの場合)しかし単に音を小さくするためだけに使うものではなく、音楽の表現に奥行きを持たせるために使うというところが大事です。それにppだからとやみくもに踏んでいては全体の輪郭がぼやけた演奏になるので注意が必要です。
ドビュッシーの曲などでこのシフトペダルを使うと幻想的な音をつくることができたり、ショパンの華麗なppのパッセージで使うと、軽くて音のつぶがよく分かるフレーズを演出することができたりします。 暗い音もソフトペダルを踏みながら弾く場合もあります。踏まないときにくらべると音が曇ったり立ちにくくなったりするので、指のタッチで調節することがとても重要です。打鍵の速度、指の角度、弾く時の腕の使い方でも音は変わります。
ダンパーペダルもシフトペダルも踏み方が難しいのは言うまでもありませんがペダリングがうまくなるには指でどんな音を出すかということと、よく響きを聞くことにかかってきます。同じ音を同じペダリングで弾いても濁って聞こえたり、にじんだようなうまく融け合っている感じになったりします。指のタッチの違い、それにどんな倍音を混ぜていくかで変わるからです。そこがうまいと、いいあんばいで音が混ざり濁りではなく味、個性となります。
私もペダルに関しての知識、実践としての技術はまだまだだと痛感しています。特にバッハやシューベルト、スクリャービンの作品のペダリングを今いろいろ考えているところです。
また、ペダルの踏む深さや上げ具合は本当に無限のバリエーションがあり、2分の1ペダルや4分の1、8分の1ペダル、上げるときも完全に上げる場合と途中まで上げる場合といろいろです。 耳はもちろん、身体のすみずみまで使って音を感じていく中のひとつにペダルを使った表現があります。大事なのはどんな音を出したいかの明確なイメージと、作品を表面上の美しさだけでなく内面まで理解する努力だと思います。
小さな生徒さんがシフトペダルで遊ぶ姿を見ながら、「あ~、、、かくもペダルの道は険し…」とつぶやく私です。
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