2013.08.12
「蝉しぐれ」という風流な言葉があり俳句の季語にも使われますが、この酷暑には夏の風流を感じる余裕のない今日この頃です。
当教室は緑の多い静かな住宅地にあります。いつも朝5時過ぎに起きて外の空気を吸うときには美しい鳥の声がしています。(春にはうぐいすも鳴いていました!)それが、陽が昇ってくるにつれものすごいせみの声に変わっていって…
熊本のせみの鳴き声は半端でなく暑さを盛り上げます。せみだけでなく、夏はエアコンや換気扇の音、扇風機の回る音もずっとだと慣れてしまってはいるのですが、結構な音を発しています。夏は思いの外、耳が疲れるように思います。
アファナシェフの言葉。
“音は静寂から生まれて静寂へと帰っていく…”
“耳を澄ますと「静寂の音」がする”
音楽の中では音のある空間もない空間も同じように大事。彼はとても日本の繊細な美に影響を受けています。「蝉しぐれ」を季語に使った俳句の世界でも、静かな情景の中に蝉の声を響かせるように詠むのがこつだとか。静寂に美を見いだす日本人独特の美意識の高さを感じます。
しかしものの本によると人間の五感で最初に退化するのはなんと耳だそうです。音楽をやってる者としては考えさせられます。
せみの声に夏の風流を思うのはもう過去の日本かもしれません。それでも日本人として、音楽をやっているものとして、音には敏感でありたいし、音や静寂の中の美しさを聞き取れる耳を持っていたいです。
HEART PIANO ハートピアノ教室