2023.10.14
《クラーマー=ビューロー》とは、クラーマーが作曲した84曲の練習曲から、ハンス・フォン・ビューローが60曲を選び、曲順や運指を編集しなおした練習曲集のことです。
クラーマー(Johann Baptist Cramer 1771〜1858)はマンハイム生まれ。クレメンティに師事し、ピアニストとピアノ教師として活躍。ロンドンにて87歳没。
長生きでしたので、なんとベートーヴェン(1770~1827)と同時期に生まれながら、ショパン(1810~1849)より長生きしてしまうという💦クラシックの全盛時代を古典派からロマン派まで生き抜いた人です。
一方のハンス・フォン・ビューロー(1830~1894)はドイツの指揮者。ベルリンフィルの指揮者としてその成長に貢献。リストにピアノを、ヴァーグナーに指揮を学びました。リストの娘コジマと結婚したことでも有名です。
ビューローは「クラーマーの練習曲を凌駕する教則本は他にない。思慮深く方法的に利用することが効果的だ。」と言っています。
そして「しかし何という皮相さ、何という無思慮な練習ぶりで生徒及び教師はこれを扱っていることだろう。速成に卒業することでこの教育はこと足れりとしているか、素早く順を追って片付けるか…それでは大した効果は現れない。」とも。
練習曲集とは、楽曲の中の弾きにくい箇所の指の動きをスムーズにするためのものなので、ある動きに特化したものになっています。目的に合わせて選び、その動きを集中的に訓練することが効果的です。ただ順番になんとなく弾いていくよりも、目標とする動きに向けてイメージを持ちながら試行錯誤した方がよい結果をもたらします。
《クラーマー=ビューロー》で言えば
第1番…音階を含む指の小回りのための練習
第2番…ある指を保持しながら他の指を動かす指の独立の練習
第3番…右手の分散和音練習
等々それぞれに目的があります。
(例で言うと、第2番と似た効果を有する練習曲は第11、14、15、16、44、49、55番)
目的別に、何曲かをまとめて練習することが効率的です。テンポも速くたくさん弾くだけでなく、弱点のポイントを見つけてゆっくりと反復するのもいい練習です。
さてこの《クラーマー=ビューロー》。楽譜売り場では、よくツェルニー先生の練習曲と一緒に並べられているので、ツェルニーっぽいのかな?もうツェルニーだけでもたくさんあるからパス!と、思ってしまいそうですが、意外にもツェルニー練習曲集よりもロマンティックな和声が使われて、楽しく弾くことができます。
私のお気に入りは第11番ハ短調です。速く弾いてもゆっくり弾いても練習曲とは思えないほどの美しさです。
熊本市東区健軍
HEART PIANO ハートピアノ教室