2012.11.26
人前で演奏するのは大変なことです。発表会でも、子どもの生徒さんもドキドキ。ましてや大人の生徒さんの緊張は大変なものです。私にとっても簡単ではありません。
ただ、ある出来事を境に気持ちの持ち方が変わりました。
ずいぶん以前 になりますがパーティーでの演奏を頼まれた時のことです。 BGMではなくお祝いの明るい曲と言うことで5~6分の曲、出番は乾杯のあとでした。お客様は美術にも音楽にも精通している方ばかりでしたが、パーティーだし聴いている人はあまりいないだろうと思いました。果たして演奏中に会場は飲食が始まり、ざわざわと宴会の喧噪が始まりました。ビールをつぎにまわる人、名刺交換をする人、普通の風景です。予想通りです。
ところが私の中で苦い思いがはじけました。
「きいて!」
自分でも意外でした。
浅はかにも、「真剣に耳を傾けられない方が緊張しなくて気楽に弾けるかも…」と思ってきました。
長年やってきてずっと忘れていました。聴いていただけるありがたさを。聴いている人がいると緊張していやだ、と思ってきたのは間違いだったと。確かにお客さんがいると緊張しますが熱心に聴いて頂くことはもしかしたら普段よりいい演奏につながるパワーを持っているのです。演奏者、聴衆、両方の力が揃っていいパフォーマンスが生まれます。音楽に命を吹き込むのは真剣に聴いて下さる聴衆だったのです。
聴いていただけなかった原因は私の演奏の質を筆頭にたくさんありましたが、大事なことを教えてくれた経験でした。
熊本市東区健軍HEART PIANOハートピアノ教室