2020.05.27
手元と自分の顔を二画面で切り替えながらのオンラインレッスンでは、上半身がアップで映るので、髪をスッキリまとめたり、その日のお天気や自分のブラウスの色などに合わせてネックレスを選んだりしています。
女優のオードリー・ヘップバーンはネックレスがとても似合ますね。細くて長い首はどんなネックレスも皮膚に吸い付くようにぴったりとおさまります。《ローマの休日》(1953)の若々しく上品なネックレス、生徒さんに大人気の『ムーンリバー』が有名な《ティファニーで朝食を》(1961)では、華奢な身体にボリューム感のある幾重にも重なった大粒のパールのネックレスの組み合わせが洗練された美しさです。圧巻は《マイ・フェア・レディー》(1964)での彼女にしか身に着けることを許さないような、長い首を全て宝石で覆いつくした豪華なネックレス姿です。よく見ると訛りで話している最初の登場シーンでは、わざとあか抜けないハートのペンダントを長く垂らしていて、主人公の変身ぶりを強調しています。
ソプラノ歌手のマリア・カラスのネックレス姿もため息が出ます。《トスカ》でのゴージャスなネックレス、東京文化会館リサイタルの晩年のシンプルな一連パールネックレス、どちらも気品と威厳を兼ね備えています。
美しく才能溢れる女性が、芸術と私生活のはざまで苦悩しながら年を重ねてにじみ出るその人の生き様…。彼女たちはジュエリーなどなくても美しいのですが(実際つけていないことも多い)豪華なネックレスを身に着けた時に、宝石に負けないパワーを放っています。高価なジュエリーを屈服させる女王のような気高さは年齢を重ねていく女性の憧れです。
あ、大変!上半身ばかりに気を取られて。私の手、オンラインレッスンの画面に映してじっくり見ると、すっかりゴツゴツしわしわ…。これから年齢と共に、内面から出てくるものがますます大事になっていきます。おしゃれもピアノの演奏も、生きてきたその人自身が問われるもの。日々の生活にも曲にも真摯に向き合って大切に年齢を重ねていきたいものです。
HEART PIANO ハートピアノ教室
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