2019.04.20
再びうぐいす。
もう毎日毎日神社の森でひっきりなしに鳴く。
「毎日うぐいすを聞きながら朝ごはん食べてる。」と言ったら知り合いにうらやましがられた。
そんなある日、なんとさえずりの主がうちの庭木の枝に来ているではないか。枝に隠れるようにしているが姿を確認。そっと窓に忍び寄る。こんな至近距離で聞くのは初めてだ。遠くの樹々から聞こえてくる声から想像していたのより何十倍も美しい間近に聞くその鳴き声の素晴らしさと言ったら!混じりけのない澄み切った音色だということは言うまでもなく、遠くまで一瞬で届く力強さがあるかと思えば、ふるふると少し震えたようなピアニッシモの声。しかしその振動のひとつひとつがクリスタルのように立体的に輝いている。そして鳴くたびに小さな体を張り裂けんばかりに大きく震わせている。鳴き声の美しさで空気の原子構成までが全部“美”に変わってしまいそうだ。
自然の力はパワフルだ。そしてウグイスの命がけの響きは驚異的だ。いい音を出そうと思ったら、ピアノにも命がけの心震えるものが必要だ。よりよい響きを求めて常に私は弾き方変えようと試みる。ドビュッシーやスクリャービンを飽きるほど弾いたり、好きなピアニストのリサイタルに足を運んだりする。やわらかくて無理なく遠くまで響く音のヒントをいろいろな経験からもらいながら、何かをつかもうとする。 フォームや感じ方はスポーツも芸術もみな同じで、日々向き合っていくほどに常に変わっていく。
そこへ、音の世界に入り込んでいる私と対照的な、家族の冷静な一言。
「今年はもてないオスが毎日一生懸命鳴いてるのか~。」
(笑) …
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