2018.10.06
庭仕事で腕を痛めてしまい、ピアノを弾くのに困るので整形外科を受診した。
「あのね、腕を伸ばした状態で力を入れちゃダメなの。まず座ったまま足をぐっと開いてごらん、そしてつま先立ちしてアゴひいて。姿勢がよくなるデショ、これがソンキョの姿勢バイ。」
ソンキョの姿勢のお手本をしてくださる院長先生は、クラシック音楽には残念ながらあまりなじみがなさそうだ。
「ソンキョってあの相撲の蹲踞ですか…。」
「そうそう。その姿勢で背筋をビッと伸ばして脇に腕をぴったりつけて胸のすぐ前で作業(演奏)してネ!よかね?」
私は先生の言う通りにしてピアノを弾いている自分を想像してみたがもちろん即座に“無理”の二文字が跳ね返ってきた。そして最近若い子がお相撲さんを“可愛い”で表現することをぼんやり考える。
先生は声がとても大きい。とにかくはきはきと大きな声でお話になる。先生の魅力は、どんな質問でも一生懸命くりかえし丁寧に説明されるところだ。ピアノを弾くという観点からは少しずれているのが残念だが、先生の発言は医師の立場からくるのでそれはしょうがない。面倒がらずに大きな声で説明をされるお姿に惹かれて電気治療と診察に通うことにした。
電気治療の部屋は奥にあり、常に満員。皆さん有難そうな表情でうっとりとその治療の時間目を閉じて過ごしてらっしゃる。携帯電話をさわったり本を読んだりする人は皆無で、皆さんが信頼して心地よく治療に身をゆだねている。
機械が既定の時間を終了すると電子音が教える。面白いのはクラシックの音楽が意外と使われていることだ。けん引の方はペツォルト(バッハ)のメヌエットとショパンのノクターンop.9-2だ。メヌエットは家電でも使われていたな、と思い出す。他にもなぜか山手線のホームに電車が入るときに聞こえる音にソックリ(多分)な音もある。あちこちからいろいろな電子音が飛び交う。
さて、知り合いの若い子B美ちゃんはまだ10代。時々この整形外科のお世話になる。そしてついに先日衝撃発言をした。
「院長先生って石坂浩二に似てないですか~?」
石坂浩二といえば二枚目の代名詞!
「な~るほど~!」
私の中でくす玉が割れた。
そういえば似ているかも。石坂浩二。こんな若い子がそんなことを考えているなんて先生が知ったら…と想像するとニヤニヤしてくる。
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