2018.09.24
リーズ国際ピアノコンクールの中継を聴きました。
私が最初に注目したのはロシアのAnna Geniushene。ちょっと濱田マリさん似(?)
27歳の美人ピアニストです。
クレメンティのソナタの第一音に心惹かれてしまいました。寂しげな表現が自然体でよく音楽が語っていました。ブラームスのバラードも深くて素晴らしい音。充実した表現力が彼女の魅力です。
ファイナルでは、セミファイナルまではスマートでクリアな演奏があまりにもナチュラルで心地よすぎる二人MarioHäring28歳とEric Lu20歳がコンチェルトで本領を発揮。
Marioは1日目の3人中3番目。ベートーヴェンのpianoconcerto第1番。完璧に曲全体を知り尽くした安定した中にも輝きのある音色。最終楽章のメランコリックでリズミックな動きも押しつけがましくなく上品に仕上げ、曲全体をしっかりとまとめあげて第2位でした。
第1位はEric。2日目2人中2番目、大取りで登場した彼のベートーヴェンpianoconcerto第4番は圧巻でした。セミファイナルまでと同じようにひたすら美しく繊細な音楽づくりを核にしながらも、それまではあまり前面には出していなかった力強さが押し出されます。彼が音楽に懸ける強い想いや、今に至る内面的な真の強さといったものが、ぐいぐいとホール中を巻き込んでいきます。音楽に込められた作曲者、ピアニスト両方のメッセージが心に響き渡った充実のフィナーレでした。あの上品なEricからベートーヴェンの壮大な人類愛、それから男臭さのようなものまで聴こえてきた気がします。
concerto4番は、オケとピアノの掛け合いが多くお互いの音を競合する箇所が比較的少ないので、Ericの繊細な演奏の特徴に向いていたと思います。更に演奏の順番が最後ということで印象を強く残しました。
しかしコンクール全般での選曲のバリエーションという点ではMarioが有利だったと思いました。とにかくお二人とも同じくらい素晴らしかったことには間違いなく、長い期間、体力や緊張感を持続させてコントロールするのはとても難しかったでしょう、と母のように思うのでした…。
それにしてもEric、ピアノの椅子に座ってすぐ鍵盤を触っただけ(撫でただけ)に見えるのに、あんなにいい音が出るなんて!!(ベートーヴェンpianoconcerto第4番出だし)
第3位の中国Xinyuan Wang23歳も、かなりの存在感とメッセージ性で観客を惹きつけました。もしかして優勝?と思えるほどのいい演奏もありましたが、ファイナルのシューマンのconcertoがもっと良くなるのでは?という可能性を残していたので期待感と残念感両方の結果だったのでしょう。
ところで恥ずかしながら今回初めて知りましたが、今は自分の足で譜めくりができるのですね。室内楽ではiPadと付属品のペダルを使用して楽譜を見る人も。譜めくりストがスイッチを持って座ったまま譜めくりをしているのは見たことがあったのですが、この世界も日進月歩です。
真の音楽に到達しようとする若いピアニストたちの演奏は本当に全員が素晴らしく、心からの拍手を送りました。最近の演奏家はメカニックばかりでつまらないとか、古き良き時代の演奏こそが良いのだ、とか聞きますがそうばかりでもないし、それに何と言っても純粋に音楽を愛する人が世界中にいることをうれしく思いました。
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