2022.04.17
「今日は調律の日です」とカーナビのナレーションが教えてくれたのは4/4。
「国際ピアノ調律製造技師協会が1993年に、日本では日本ピアノ調律師協会が1994年から実施。」され
4月を英語にしたとき頭文字が調律の基準音A(ラの音)と同じということと、そして基準音の周波数が440Hzであるかららしいです。
調律師さん。
オーバーホール時は本当にお世話になりました。
いえ、まだなっておりました。(そろそろ3回目の調律だ)いつもありがとうございます。
そして調律のたびにいつもピアノから生徒さん用シールや羽虫の死骸が出てきて驚かせてごめんなさいです。
今年のゴールデンウィークからはピアノのコンディションを死守するためにレッスン室の湿度管理をがんばります〜(T . T)
ちなみに基準440Hzというのは結構前の話。
最近は442Hzあたりらしいです。
あんまり高いと演奏がキンキンしますね。
逆に古楽の演奏では415Hzとか。半音低いらしいので、かなりの差があります。(ちょっと落ち着いた音)
ご褒美シール帳と化した曲集表紙^ ^↓
はてさて、急に初夏めいたりちょっと涼しかったりと、いつの間にか季節は足早に進んでいます。
暖かくなったおかげで手が楽!
ピアノの練習もはかどることが多くなってきました(?)。
中級以上の生徒さん方も次の課題に移るタイミングを迎えており、私もそれらのレッスンの準備として楽曲分析の時間をたびたび持ちます。
中級以上の内容になると
自分、不器用なもんで、弾くだけというわけではなく、多少の音出しをしながらひたすら楽譜を眺める作業時間の方が多くなります。
その日も厚ーいベートーヴェンソナタ(昔のタウンページくらいある)のページをバタバタと操っていて、三大ソナタなどの有名どころ以外の作品を少しなぞっていた時。
11番のソナタが目に入りました。
長ーいよ、このソナタ。
実はこの曲、かつてベートーヴェンが苦手で嫌いだったため、まだちゃんと弾いたことがありません。
この曲には少し思い出があります。
受験生の頃、大学の夏期講習か入試期間中のことだったか。
ピアノ科の他の受験生と課題曲とかについて練習室で雑談していた時のこと。
「ちょっと演奏してみよう」ということになり、1人の受験生が11番のソナタを聴かせてくれました。
当時アレルギーなんじゃないかと思う位のベートーベン嫌いだった私。
弾けば吐き気がするほど(おい)だったので、最小限しか接していませんでした。
要するに逃げていたわけです。
でも同学年の彼女の演奏はそれは素敵でした。
私も弾きたいな、こんなふうに。
「とっても上手だなぁ!」と感心する私に、
彼女は
「こんな簡単な曲、点も低いよ。弾いたことあるんでしょ?」
と半ば呆れ気味な応答。
ご想像通り、甘ちゃんだった私は弾いてない。
「このソナタ弾いてないなんて信じらんない。大事なソナタだよ。その先生で大丈夫?」
と、師匠まで落とされ、流石に私もその言葉に虚脱感。何に?逃げてきた自分に。
子供の数も今の2倍のバブル末期、地方からレッスンのたびに上京してくる資金がある家庭が多かった時代。
だから音大受験には、びっくりするくらい弾ける上に勉強も並以上にできる学生が全国からゴロゴロ集まってくる。
そりゃ当時のピアノ科の激戦ぶりを考えれば、このくらいしっかりしてないと無理だったろうと思います。
色々な事情があり、自分なりのスタイルでしか受験体制がとれなかった私にとって、志望校の教授に師事している他の受験生は別世界の同世代でした。
まあ、何とか2番目の志望校にギリギリに滑り込んだ私は、その後もしばらくベートーヴェンから遠ざかったまま。
流石に最近は教えることもあってそうも言っていられず、どういうわけかあんなに嫌っていたのが嘘のように楽しく接するようになりました。
今改めて11番の楽譜を見ると、なるほど…
あの時の彼女の言葉が受験生にとっては当然ということを思い知らされます。
本当に甘かったな、わし。
もし私が音大受験生を持っているなら、やはりベートーヴェンの11番のソナタは時間をかけても取り組ませるよな…。
ということで、時期を見てそのうち弾いてみようと思っています。
昔の自分が避けてきたことにも、実は大きな価値があるということを噛みしめながら。
たけうちピアノ教室
所沢市東所沢 柳瀬小前にある小さなピアノ教室です。「和気あいあい、のんびり、いつまでも音楽を楽しもう」辺りをモットーにしています。